F&Aレポート

アップアップ読解力10 相手がイメージできるように表現する

アップアップ読解力10 相手がイメージできるように表現する

 話し方講座でスピーチを練習していると、「言っていることはわかるけれど、具体的なイメージが浮かばず共感しづらい」または、「話の面白さが伝わってこない」ということが、よくあります。そうなると、話をしている本人は一生懸命に伝えているのに、聞き手の反応が薄いという、非常に残念なスピーチになってしまいます。

 これはスピーチに限ったことではありません。会議の報告でも、社運をかけたプレゼンテーションでも同じです。たとえば、「このままだと非常にマズイ状況になる!」と言っても、「どうマズイ」のか、「このままだとどのようなマズイ状況になるのか」が伝わらなければ人を動かすことはできません。

 抽象的な言葉は、よりリアリティを持った表現に変えてみましょう。ピンボケの白黒写真が、100万画素のカラー映像?に変わるぐらい、はっきりくっきりと伝わります。と複雑な要素を持ちます。会話を円滑にするためにも読解力は役立ちます。

1、抽象的ってなに?

 ところで、基本的なことですが「抽象的」とは何でしょう?
抽象的とは、共通した要素を抜き出して一般化していること。または、具体性に欠けていて実態が明確ではないこと。「曖昧」「大雑把」「概念的」(実用日本語表現辞典)
例)「抽象的な言いまわし」「抽象的な説明」。
 抽象的の反対語は「具象的」「具体的」。

2、「課長は疲れた様子だった」

 「課長は疲れた様子だった」という表現よりも、「課長はとぼとぼとした足取りで歩いていた」と表現する方が、よりリアルに伝わります。そのほかにも「しょんぼりとした様子で」「心ここにあらずといった様子で」などの形容をすると具体的になります。

 この表現のコツは、「重ね言葉」=「とぼとぼ」「ぼそぼそ」「かりかり」「ふらふら」などと、「形容句」=「すっかり肩を落として」「青ざめてうつむいた様子で」などです。

3、次の抽象的な表現を具体的にしてみましょう

(1)「工場は遠かった」
 どれほど遠いのかは伝わりません。
「バスで40分もかかる山の中にあった」
「1時間に1本のバスで、40分も山道を揺られて、谷を越えてようやく工場の一部が見えてくるほどの山奥」とすると、遠さが伝わります。
 数字の情報を入れることと、視覚的なイメージができるような表現にすると、聞き手もその場にいるような気持ちになります。

(2)「車が止まった」

 動きがあると、情景は目に見えるようになります。
「車が中央分離帯を越えて、私のすぐ目の前で急に止まった」とすると、止まった状態ではなく。動きのある状態をイメージすることができます。

(3)「目の前に海が広がっていた」

 色や音の情報を入れると、五感を刺激してよりリアルに伝わります。
「海風が?に心地よく、潮の香りが漂ってきた」
「青く広がる海に、太陽の光がキラキラと輝いていた」
「白い砂浜では、波打ち際ではしゃぐ子どもたちの声が聞こえてきた」
「売上が上がっている(下がっている)」「活気のある(ない)職場」などの、ビジネスでの表現も、上記の具体例を参考にするとよりリアルになります。まずは、普段の会話から意識してみましょう。

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