「手帳大賞2022」に見る、フツーの人たちの名言
「手帳大賞」と聞くと、今年一番売れた手帳のこと?なんて思ってしまいますが、そうではないのです。
「手帳大賞」とは、思わず手帳にメモしたくなる名言のことを言います。手帳で有名な「高橋書店」が、名言を毎年募集し優秀作品を選出しています。
著名な人の名言ではなく、市井の人たちのふとした会話や、自分自身の言葉だからこそ、心に響くのです。「うまいこと言うな」「記憶しておきたいなぁ」と感じた言葉。誰が、どんな状況で言ったのかがわかると、言葉の意味するところが一層際立ちます。
今年の大賞に選ばれた「なるほど~」とうなる名言をご紹介します。ちなみに、あなたの名言は何でしょうか。手帳の片隅に書き記した大事な言葉を探してみてはいかがでしょうか。(高橋書店 手帳大賞2022)
1 大賞「幸せだよ、だって私だもん!!」
<応募書>54歳 会社員 女性
<発言者>結婚して家を出た娘
<背景>歯に衣着せず発言する娘で、看護師をしています。時折旦那様とぶつかることもあり、ストレートな性格上、とても心配な毎日で「大丈夫なの?」と聞くと、笑顔で「幸せだよ、
だって私だもん!!」と答えました。人知れず苦労して、このご時世、仕事も大変だろうにと、思わず「ううっ…」と涙がこぼれました。
<大賞寸評>
・自分の幸せを何かと比較してしか自覚できないこと自体が、実は不幸なんですよね。そのからくりを見破ってスバリと幸せを引き寄せようとする意志は、こちらをも励まします。
・しっかりと自分を生きていることがわかる言葉。とても頼もしい。自分を幸せにするのは自分なのだ、だから大丈夫なのだ、という気づきがあり、はっとするほど新鮮。
・困難な時代だからこそ、大切なのは自分を愛すること。だからこそ他者を愛することもできること。最後の「!」マークに、言い切ることで自身を鼓舞する強い意志を感じた。
2 特別賞「地球って国があったらいいのに。」
<応募書>46歳 会社員 男性
<発言者>7歳の娘
<背景>娘に授業参観日に言った言葉です。社会で戦争や平和の授業中、他の子供の親たちも感心。うちの娘ってすごいと思ってしまいました。
<作品寸評>
・日々こういう気持ちになる今の地球です。子どもは一番の解決策を口にしてくれますね。大人はそれができないと決めつけている。そもそもこの思想が国連をつくったわけですから、できるといつでも信じていないと。
・地球上に戦争が絶えないことを子ども心に憂いて生まれた素晴らしい提案。今の時世を鋭く批評する言葉でもあり、胸を突かれた。
・争いの絶えない世界において、少女のまっさらな願いの切実さに胸を打たれた。
3 優秀賞「ドキドキするのはね、がんばるぞーって勇気のドラムがなっているんだよ」
<応募書>50歳 主婦
<発言者>自分
<背景>当時、あがり症だった子どもたちに、学芸会やピアノの発表会など、緊張する場面でも楽しんでほしくてかけていた言葉です。
<作品寸評>
・武者震いとは言いますが、武者じゃなくても心は震えているんです。不安と期待で。それを我々も「勇気のドラム」と呼びましょう。
・緊張して胸が高鳴ってどうしようもなくなったとき、この言葉を思い出すと落ち着くことができそう。普遍的な効用が期待できる。
・ドキドキするような緊張感のある状態にこそ、学びや成長、出会いがある。そこから逃げずに、むしろ肯定するために「勇気のドラム」という表現をされているのが素晴らしい。