お見舞い返しは、なぜ消耗品?
病気やケガなどで入院をしてお見舞いをいただく。その後、退院するときにお見舞い返しとして「快気祝い」を贈る。人生では時にそんなこともあるはずです。自分のことでなくとも、家族が入院してお見舞いをいただくということもありますし……。
「見舞い返しは、なぜ消耗品なのですか?」という質問を受けました。よくご存知の方には当たり前と思われるかもしれませんが、これは「ケガや病気、または入院したことを洗い流したい」という思いを込めて、消えてなくなるものを選ぶのが良いとされているからです。また、「消耗品」はあとに残らないので、もらう側も負担を感じることが少なくて良いという贈る側の配慮もあります。
一般的には、洗剤や入浴剤などがよく選ばれるようですが、お菓子も良いとされています。金券類についてはあからさまに金額がわかるので、絶対にダメというわけではないのですが、敬遠した方が無難という傾向が強いようです。それでも金券類を送りたいという場合は、最近ではカタログギフトも充実していますので、参考にされると良いでしょう。
逆に避けた方がいいものといえば、病や入院を連想させるシーツなどの寝具。また、「寝付く」(=「根付く」)で、鉢植えの植物です。中でも「死」と重なる「シクラメン」や、葬儀をイメージさせる「菊」はNG。たとえ切り花であっても菊は避けましょう。
また、厳しい基準をクリアし、品質の良さで日本が誇るタオルブランドである「今治タオル」は、「今、治なお」るということで、快気祝いにはとても喜ばれていると聞きます。タオルは毎日誰もが使う日用品で、消耗が早く、取り替える回数も多いことから「消耗品」と、扱われているのです。
ただこれはマナーとしての一般論です。「喜ばれるものを送りたい」ということであれば、「マナー」を選ぶか「喜び」を選ぶのかは自由です。「お好みに合うかと思い、あえてこちらを選びました」という一言を添えて贈るのも良いでしょう。心が伝わることが一番。マナーを心得た上で状況に応じてチョイスできるのもセンスではないでしょうか。