「組織は人なり」「言葉は人なり」すなわち「組織は言葉」なり 2 年齢にまつわることば~『妙齢』って何歳?
「妙齢の女性」という表現は聞きますが、「妙齢の男性」はどうでしょうか?
あまり耳にしたことがありませんね。
日本人は「年齢」を気にしすぎる傾向があるようです。
「年相応に」「年甲斐もなく」など、海外ではほとんど聞くことがないといいます。
今回は年齢にまつわる言葉を調べてみました。
1、「妙齢」って何歳?
「妙」という字があるので、「奇妙な」「不思議な」というネガティブなイメージが先行してしまいがちですが、「妙」には「極めて良いこと」「言うに言われぬほど優れていること」という意味もあります。
「妙齢」とは、最も美しい時期だと思われる年頃の女性を意味する言葉です。「妙齢の女性」という表現は、その女性が最も美しく輝いていることを表しているのです。
妙齢は、他の女性と比べて相対的に美しいといった意味ではなく、その女性自身が人生の中で最も魅力的な時期であることを言います。
ただ、妙齢が何歳からを指すかという定義は難しいようで、18歳から20代前半を指すという定義と、20代後半以上を指すという定義もあります。
また、一方で「その人が最も魅力的な時期」は、その女性によって異なるため、40代でも50代でも、さらに60代でも妙齢と言えるという解釈もあります。
以上のように、「女性限定」の言葉なので「妙齢の男性」とは言いません。
2、「歳」と「才」の使い分け
年齢を書くときに、「歳」と「才」どちらを使いますか?「18歳」「18才」どちらもよく見かけるので、どちらも正しいと思っていませんか?
厳密には「歳」は、年齢や年月の単位を意味します。読み方も「さい」「とし」。
一方「才」は、生まれつき持っている能力や、はたらきのことを意味し、読み方は「さい」。「才能」「才気」「天才」という使い方をするので、年齢という意味はないのです。
そのため、「18才」のように年齢を表すときに用いるのは俗用と言われています。ただ、「歳」は画数が多く書きづらいので「才」を代用していることが多いといえます。
また、それぞれの漢字の成り立ちが違うため「才」は「歳」の略字ではありません。
昨今は手書きよりもパソコンで文章を書くことが圧倒的に多いため、「画数が多くて書くのが面倒」ということはありません。年齢を表すときには「歳」を用いるようにしたいものですね。
3、「三十而立(さんじゅうじりつ)」「四十不惑(しじゅうふわく)」「五十知命(ごじゅうちめい)」「六十耳順(ろくじゅうじじゅん)」「七十従心(しちじゅうじゅうしん)」
いずれも孔子が自分の人生を顧みて述懐したと言われています。(論語)
「三十而立」学識や道徳観も確立して、世に立つ自信を得る年齢であるということで、「三十歳」を「而立」と言い、「三十にして立つ」(さんじゅうにしてたつ)と読み下します。
「四十不惑」人は四十歳になると、自分の生きてきた道に自信を持ち、あれこれ迷わなくなるということ。「三十而立」と同じく、「四十歳」を「不惑」と言うようになりました。「四十にして惑わず」(しじゅうにしてまどわず)。
「五十知命」五十歳で天命を(天から与えられた使命)を知るということ。「五十歳」を「知命」といい、「五十にして天命を知る」(ごじゅうにしててんめいをしる)と読みます。
「六十耳順」六十歳で人の言葉に耳を傾けることができるようになる。「六十歳」を「耳順」といい、「六十にして耳順う」(ろくじゅうにしてみみしたがう)と読みます。
「七十従心」七十歳で思うままに生きても人の道から外れるようなことはなくなるという意味。「七十歳」を「従心」といい、「七十にして心の欲するところに従って矩(のり=道徳、法律)を超えずと言いました。孔子が七十歳でたどり着いた境地と言われています。
人生100年時代、八十歳、九十歳、百歳ではどのような心境になるのでしょうか。自分自身で自由に理想の境地を言葉にしてみましょう。