ことばのちから「言葉は思考の土台」10 ~新年挨拶にふさわしいことば
今年も残すところ一ヶ月となりました。気分はまだまだ2021年ですが、世の中は2022年の準備を始めています。新年の挨拶といえば「年賀状」だけでなく、社会人であれば互礼会や賀詞交換会などの挨拶、または仕事始めのあらたまった挨拶など、大なり小なり求められるものではないでしょうか。忌み言葉を避けるのはもとより、気の利いた一言があると、新年のビジネスは気持ちよくスタートできそうです!
1、元日は歳神様が宿る
戦前までの日本は「数え年」を年齢としていたため、元日に皆が一つ歳をとっていました。現代で言うと、「日本国民全員の誕生日が元日」という感覚です。そのため元日は「あらたまの年たちかえる」非常におめでたい「ハレの日」だったわけです。
また、元日は「歳神様」をお迎えする日で、門松、お年玉、おせち料理などのしきたりは歳神様に関係するものです。元日は家族で外出をせず掃除もせず(歳神様が逃げ出してしまわれるので)新年を祝い、静かに過ごすというのが習わしでした。
2、新年の「忌み言葉」
以上のように、一年の最大重要行事でもあった元日ですので「忌み言葉」も存在しました。この「忌み言葉」は現代でも通じます。年賀状や新年の挨拶には避けた方が良いとされる漢字や表現などは次の通りです。
「去る」「滅びる」「絶える」「衰える」「破れる」「失う」「枯れる」「倒れる」「病む」「切れる」「消える」「苦しむ」「崩れる」「終わる」「離れる」「壊れる」「死、病、倒、崩、終、別、消、切、流、忙」など
3、年始の挨拶
「新年あけましておめでとうございます」は、「新年」と「あけまして」の意味が重複するので、「新年おめでとうございます」「あけましておめでとうございます」と、言い換える方がベターです。
また「昨年は…」と切り出し、コロナ禍の大変さや、業績の悪化などを語ってしまいがちですが、そこにあまり重きを置かず、新年の希望に満ちた、明るい話題に重点を置く方がふさわしい挨拶になります。
特にリーダーは、気持ちを新たにしてエネルギーを高める言葉を選びたいものです。
年賀とは「新年の祝い」という意味です。お互い無事に新年を迎えられたことに感謝し、祝いにふさわしい慶びの言葉で始まりたいものです。
4、年賀状には句読点を入れない
年賀状に限らず、祝いごとの文書は原則として句読点を避けるという風習があります。
句読点は終わりや区切りを意味するので、年賀状にはふさわしくないとされているのです。「、」「。」をつけることは「区切り」を意味するため、「相手との関係が終わる」という意味が含まれます。
5、干支になぞらえる
年始の挨拶は「干支」になぞらえて、運気にあやかることもしばしば見られます。来年の干支は「寅」です。「寅」は十二支の中でも、最も強く華やかな干支です。
2022年は最も運気が強いと言われる「五黄の寅」の年。九年に一度の九星気学の五黄土星(ごおうどせい)と、十二年に一度の十二支が重なる、三十六年に一度の開運の年と言われています。
また「寅」の字の成り立ちは「演」です。演は「延」から由来し、「演技」という言葉は「技を延ばし、人々を魅了する」という意味があるのだそうです。
そのほか、「新しいことに『トラ』イする」「あけましておめで『タイガー』」などもありそうです(笑)
「寅」にちなんで邪を払い、技を鍛え、人々を魅了する年にしたいものです。