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立冬からの「冬支度」

立冬からの「冬支度」

 「紅葉は、竜田姫の冬支度」という、日本古来の言われを前回レポートでご紹介しましたが、11月7日に立冬を迎え暦の上では早くも冬です。まさに「冬支度」が始まる季節になりました。

 考えてみると「夏支度」や「秋支度」とはあまり聞かないのに「冬支度」は、耳に馴染んだ言葉です。なぜでしょう?

 歳時記によると「冬支度」とは「冬用意」「雪支度」。雪国では庭木の雪折れを防ぐために雪吊や薮巻を施したり、家の周りを板で囲んで風雪から家を守ったり、越冬野菜を買い込んだりして、長く厳しい冬に備えると解説されています。

 現代と違って、暖を取るための電気もガスもなく、薄い着物で過ごす冬がどれほど厳しいものだったのか思い知ることができます。家族で無事に冬を越すことは、命がけの戦いといっても過言ではなかったのでしょう。

 現代でも、ボイラーやヒーターの試運転をしたり、屋根の掃除をしたり、庭の水栓の水抜きをするなどの多くの「冬支度」があります。「雪国」といわれる地域でなくとも、車のタイヤを冬用に変えるなどの「冬支度」がありますね。

 木枯らしが吹き始め、身も心も凍えるような冬の始まりに、ほっとするような暖かい日を「小春日和」といいます。冬の中の「小さな春」とたとえる先人の優しさが伺えます。

 ちなみに「春支度」は、陰暦では1月を春としていたため、「新年を迎える準備」を表すことばでした。床の間の掛け軸を取り替えたり、子どもたちの春着(晴れ着)を準備したりといった作業ですが、現代では4月の新年度を迎える準備という意味で使われることもあります。

 今年の冬はラニーニャ現象で一段と寒くなると予想されています。あなたの「冬支度」は何でしょうか。