自分を大事にすれば、幸せや成功につながる
たとえば、目の前に２台の車があるとします。１台の車は手入れが行き届いたピカピカの車。もう１台は汚れていて、傷や凹みがある車。もし、「この２台のうち、どちらかを蹴ってください」と言われたら、あなたはどちらの車を蹴るでしょうか。おそらく多くの人が、汚れた車を蹴るでしょう。
また、きれいに掃除されて整備された道路にゴミを投げるのは抵抗がありますが、ゴミが散乱している道路なら「自分がちょっとぐらいゴミを捨てても構わないだろう」という気持ちになって、ゴミを捨ててしまう。
心理学には「割れ窓理論」といい、軽微な犯罪がやがて大きな犯罪を生み出すという理論があります。人間には秩序の乱れがあると、それに同調してしまうという性質があるのだそうです。すでに秩序が乱れている場所があると、さらに秩序を乱すことへの抵抗感が少なくなるのです。
新潟県上越市の道路沿いには、高さ50cmほどの赤い鳥居が立っています。ここで死亡事故があったわけではありません。ゴミの不法投棄を減らすための取り組みで、地元の人たちが自主的に設置したものなのだそうです。
ポイ捨てをしようとすると、赤い鳥居が目に入る。すると「神聖な場所を汚すのではないか？バチが当たるのではないか」と、ためらう心が生じ、ゴミの不法投棄を抑止する。もともと神聖であるかないかはまったく関係なく、神聖であるという印を勝手につけただけですが、明らかな効果が発揮されたのだそうです。
人も同じです。鏡に向かって、自分自身の長所も短所も認め褒めてみる。そして、身だしなみを整え、態度や言葉遣いは少しだけ丁寧に。そんな努力をしている人を粗末に扱うのは抵抗があります。自分を大切にする人が大切にされるということ。その積み重ねが幸せや成功につながるということ。自粛を求められる今の世の中だからこそ、我が身を振り返りたくなりました。（参考 脳科学者 中野信子著「脳はどこまでコントロールできるか？」）
