「NO」という権利と、その言い方
人から何かを依頼されたときに「YES」と答えるのは簡単ですが、「NO」という答える場合は少なからず勇気がいるものです。断ると相手ががっかりするのではないか、嫌われるのではないか、人間関係が悪くなりはしないか…などと考えると、「NO」は言いづらくなってしまいます。これが友人関係ならともかく、上司や先輩、またはお客様からの依頼ならどうでしょうか。
非主張的で、なかなか「NO」が言えない人は、一見相手を立てているようだったり、相手に配慮しているようにみられますが、自分の気持ちに不正直で、相手に対しても率直とはいえません。あいまいな言い方をしたり、言い訳がましい言い方になったりします。
また、相手に対しては「譲ってあげたのに」といった恩着せがましい気持ちや、恨みがましい気持ちになったりします。もし本当に相手を配慮し、尊重して同意したり譲ったりしたのであれば、自分の決断でそうしているので、気持ちはさわやかで未練は残らないはずです。長続きする良い関係は、自他ともに尊重したコミュニケーションから生まれます。自他ともに尊重したコミュニケーションを「アサーティブ」といいます。アサーティブなコミュニケーションを可能にする条件は、<自分をコントロールできる、自他の権利を尊重している、自己肯定感を持っている>ことです。
「NO」を言う権利は、基本的人権(言論の自由)でもあります。まずは、その基本に立ち返り、「NO」を言うに留まらず提案をしましょう。「Aは難しいけど、Bならできるけどどうかな?」「全部はムリでも、半分なら間に合います」「明日までなら可能です」など、歩み寄る姿勢をみせれば、相手も納得できるのではないでしょうか。
また、依頼する側も相手に「NO」を言う権利があること踏まえた上で依頼しましょう。自他ともに良いアサーティブなコミュニケーションは、成熟した関係を維持し、ものごとの成功率を上げることができると言われています。不要な不安や怒り、罪悪感を防ぐこともできます。