F&Aレポート

「よそ行きの声」「普段着の声」

「よそ行きの声」「普段着の声」

 少し前に読んだ本で「よそ行きの声を無くした女性たち」という話がありました。

 スマホや携帯電話の発達で私たちはダイレクトにつながりやすくなりました。友人との電話でも、仕事関係の電話でも。

 自分がかける電話で「相手の電話口で、最初に誰が出るかわからない」という状況が極めて少なくなったのです。最初に電話に出るのが誰かわからないわけですから、やや緊張しながら、ちょっと「よそ行きの声」準備します。

 10年、いえ20年も30年も前なら、友達の家に電話をしてその家のお母さん(お父さん)につないでもらうという作業があったため、「私○○と申しますが、△△さんは、いらっしゃいますか?」という、子供の口では言い慣れないフレーズを、一生懸命にとりすまして言ったものです。面倒な作業といえば、それまでですが、そのおかげで「よそ行きの声」をつくる呼吸や、常識としての挨拶を知らず知らずに身につけていったような気がします。

 今は、個人に電話をして電話がつながるやいなや、「地声」で「本題」に入ることも珍しくありません。「よそ行きの声」は必要ないのです。

 これは電話を受けるときもそうです。スマホや携帯電話なら、誰からの電話なのか、たいていはわかっているので気楽に通話を始めます。

 先日、私の講座で自分のスピーチをスマホで録音して聴いてみるというワークをしました。そのときの感想が「私の声は、普段着っぽい」というものでした。大半の女性が異口同音し、自分の声にがっかりしていました。「どうやったら、よそ行きの艶のある声になるんですか?」という質問がありました。

 詳しくはまた別の機会にあらためますが、訓練次第で誰でも「艶声」は出せるようになります。洋服にもメイクにも日常と非日常があるように、声にもメリハリをつけてみてはいかがでしょうか。あなたの印象がグッと変わるはずです。