「お客様」の呼びかけは「魔法の言葉」
名前を呼びかけることは、ビジネスでもプライベートでも、相手に対する親しみや信頼感が増します。同様に「お客様」の一言を付け加えると、特別感が生まれ、サービスのレベルが一段とアップします。
以前、東京駅からタクシーに乗った際に、乗務員さんが開口一番「お客様、どちらに参りましょうか」と、訊ねられました。その後、要所要所で「お客様、こちらを右折でよろしいでしょうか」「お客様、玄関の前につけますので、少々お待ちください」などと言い、「お客様」を連呼されました。私は、自分自身がとても大切に扱われているように思えて、非常に心地よく感じました。
「お客様」という呼びかけがなくとも、会話は成立するはずなのに、あえて「お客様」と呼びかけ、程よい間をとっているようにも感じました。
ごく自然に「お客様」という呼びかけができるのは、訓練の賜物でしょう。頭でわかっていても、習慣になるまではしばらく時間がかかるものです。
人は大切に扱われると自尊心が満たされ、より紳士淑女であろうと心がける生き物です。逆に、雑に扱われていると感じると、非常に面白くなく、投げやりな気持ちになります。「扱われた通り」の自分になろうとするのです。
「お客様」の一声が、お客様を変え、場の空気を変えます。できれば、そこに笑顔も添えてみましょう。まさに「鬼に金棒」ともいえるかもしれません。
接客業に携わる方は、意識して呼びかけてみましょう。「お客様」は魔法の言葉です。