F&Aレポート

「ありがとう」の語源 滅多にないことだからこそ「有り難い」。だから「ありがとう」

「ありがとう」の語源 滅多にないことだからこそ「有り難い」。だから「ありがとう」

 「盲亀浮木(もうきふぼく)」という寓話があります。

 この寓話は、「大海に眠る盲目の亀が、100年に一度だけ水面に顔を出すとき、波間に漂う浮木の、たったひとつの穴に首を出すぐらい容易でない」という話しです。亀は太平洋の真ん中を泳いでいるかもしれません。浮木は日本海近くにあるかもしれません。亀は盲目で、海面に顔を出すのは100年に一度です。また、運良く浮木に出会ったとしても小さな穴に首を出すことができるでしょうか。絶対にないとは言いきれませんが、極めて難しいことです。

 仏教では、森羅万象の中で人間に生まれることが、非常に稀なことで、尊い教えに出会えることは、一層稀なことなのだと説かれています。すなわち、「有り難い」ことなのだと。ちなみに「盲亀浮木」の類語は、「千載一遇」です。こちらは、千年に一度会えるかどうかという意味です。

 日本ではこのような語源を持つ「ありがとう」ですが、海外では、「恩義を受けている」(ポルトガル語:オブリガードoburigado)、「あなたのことを思っています」(英語:サンキューthank you)(ドイツ語:ダンケdanke)、「慈悲、恩恵を受けている」(フランス語:メルシー)(イタリア語:グラーツィエgrazie)などが、ありがとうの語源になっています。

 「ありがとう」の反対語は「あたりまえ」。「あたりまえ」よりも「ありがとう」で、2018年も頑張っていきたいものです。