F&Aレポート

江戸しぐさに学ぶ

特集 江戸しぐさに学ぶ

 江戸しぐさとはもともと、江戸の商人たちが、町が安泰で商売が繁盛するために、お客様と良い関係を築き、それを保にはどうすればよいかと、あれこれと智恵を絞り、工夫を重ねて磨き上げた人づきあいのノウハウがベースになっています。
 この江戸しぐさが今、学校教育でも取りあげられています。社会に不安が広がれば広がるほど安心を求める心は強まり、江戸しぐさにその安心な社会づくりのカギがあることに多くの人が気づき始めたのでしょう。江戸しぐさを今一度見直し、”今しぐさ”に取り入れてみてはいかがでしょう?(参考図書「江戸しぐさ」入門 三五館

1.見越しのしぐさ
 商人にとって、先を読むというのは必須課題です。最低、翌年の盆までの読みができていなければ江戸の商人としての資格がないと言われました。予測が外れたら、商売に損害を出すだけではなく、周囲の人にも迷惑をかけるからです。商人に限りません。農業では今年の天候を読めなければならない。旱魃の年か冷夏か、台風はどうか、大雪はどうかなどです。
 さらに見越しのしぐさで欠かせないのは”人を見る目”です。特にその人の仲に眠っている資質を引き出す能力がなければ一流の商人にはなれないと言われていました。

2.真贋(しんがん)分別の目
 骨董などの真贋はよくあることでだまされて偽物を掴まされるというのは普通の話です。偽物を買わないためには勉強して眼を養うしかありません。それでも贋物を買ったりします。一言で勉強不足と言ってしまえば身も蓋もありませんが、欲という心理的要因が邪魔をしているのです。
 欲とか見栄とか世間体という意識は眼をくもらすフィルターです。江戸商人は日頃から真贋を見分ける力を養っていました。きちんと見分ける判断力をつけておかないと流行に流されたり人のいいなりにされて後悔します。江戸商人は利益は後からついてくると考え、目先の利益に振り回されないよう注意していました。江戸しぐさのように商いの哲学や商いの心を大切にしたいですね。