F&Aレポート

日経TEST 日経経済知力テスト

日経TEST 日経経済知力テスト

 日経TESTとは経済知力(ビジネス知力)を測るテストです。社員や学生の客観的な評価と教育支援、研修などに活用できます。問題は100問で試験時間は80分。日本経済新聞社と日本経済研究センターが主催しています。試験はマークシート式で行われますが、その一部をご紹介します。

問1 2016年1月、日銀が「マイナス金利」の導入を決めた。対象になったのはどれか。
(1)銀行が日銀に預ける当座預金の金利
(2)日銀が市中から買い入れる国債の利回り
(3)個人や企業が銀行に預ける普通預金の金利
(4)銀行が他の銀行に資金を融通する際の金利

問2 日本の知的財産制度について、正しい説明はどれか。
(1)文字やマーク以外に、音声なども商標登録が可能になった
(2)特許が認められると、その技術を外部に秘密にできる
(3)農水産物は産地にかかわらず、地名を自由につけて販売できる
(4)著作権の保護期間について、政府は法改正で短縮進めている

問3 世界の大手自動車メーカーのエコカーを巡る提携関係で、正しいのはどれか。
(1)ホンダ:ゼネラルモーターズ(GM)
(2)トヨタ自動車:フィアット・クライスラー
(3)日産自動車:現代自動車
(4)スズキ:BMW

問4 次の商品・サービスのうち、価格戦略が他の3つと異なるのはどれか。
(1)ハイレゾ対応携帯音楽プレーヤー
(2)LCC
(3)4Kテレビ
(4)クラフトビール

問1 正解(1)マイナス金利、金融政策
 日銀が「マイナス金利」を導入したのは、銀行(民間金融機関)が預金の払い戻しなどに備えて日銀に預ける「日銀当座預金」の一部が対象だ。日銀当座預金の残高は2016年2月時点、約260兆円。このうち約210兆円に年0.1%の金利がつき、40兆円が0%(無利子)。マイナス金利は、残り10兆円を対象に16年2月中旬から金利を「年マイナス0.1%」にして、その後も対象を10兆?30兆円に抑える。日銀当座預金全体からみると割合はごくわずかだが、「日銀に預けると金利分を支払わなければならないので、低い金利でも貸し出しに回したほうが得」という環境をつくり、企業の設備投資資金などに回るよう促すのが導入の目的だ。欧州中央銀行(ECB)、スイス、スウェーデンなども同様の目的でマイナス金利を導入している。
 「おカネは経済の血液」と呼ばれるが、最近の日本経済は、この「血液=おカネ」が十分に回らない状態だ。このため「量的・質的緩和」と呼ばれる、民間銀行などから国債などの金融商品を買い入れ、おカネの量を増やす金融政策をすすめてきた。その効果が不十分なので、さらに対策を追加したもので、日銀は「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」政策とも呼ぶ。

問2 正解(1)知的財産権
 商品・ブランド名や作品、技術などを知的財産(知財)と総称する。販売拡大などの攻めへの活用と、侵害を避ける守りの両面で重要性が増している。2015年は知財制度の大きな節目だった。改正商標法が施行され、音声や動き、イメージカラーも商標登録できるようになった。また産地名を冠した農林水産物などを対象にした地理的表示保護制度が導入された。
 政府は作者の死後50年間としてきた著作権の保護期間を70年に延ばす法改正を進めている。2015年に大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)に対応した動きだ。特許は技術を守れるが、内容は公開される。このためメーカーが技術やノウハウを敢えて特許申請せず、社内秘密として守る場合も多い。

問3 正解(1)エコカー提携
 ホンダは燃料電池(FCV)で米ゼネラル・モーターズ(GM)と提携した。2020年をめどに投入する次世代FCVで、GMと燃料電池システムの開発を進めており、両社による共同生産も検討する。
 トヨタ自動車の提携先は独BMWで、ハイブリット技術を供与したり、FCVを共同開発したりする。日産自動車は独ダイムラー、米フォード・モーターと燃料電池システムを共同開発している。スズキは独フォルクスワーゲンと提携を解消した。エコカー分野は巨額の開発費が必要なうえ、開発した車は世界中で売る事が期待されるため、各社とも提携関係を結ぶことで経営資源を補完している。

問4 正解(2)価格戦略
 個人消費は日本の国内総生産(GDP)の約6割を占める。日本は中間層が多く、同じ人が時によって安さ優先と、品質へのこだわりや「ぜいたく」「プチでいたく」を使い分ける。景気や流行への反応も敏感だ。企業は消費動向の変化をよく観察して、マーケティングを工夫する努力が欠かせない。少量生産ながら味わいのあるクラフトビール、CDより高温質のハイレゾリューション(ハイレゾ)向け携帯音楽プレーヤー、解像度がフルハイビジョンの4倍の高精細な画像を表示する4Kテレビは、いずれも上質な代わりに価格が高めな高付加価値商品だ。これに対して、格安航空会社(LCC)のサービスは低価格が主な利用動機である。