F&Aレポート

季節を感じながら歩く~時には、イヤホンを外して歩こう!

季節を感じながら歩く~時には、イヤホンを外して歩こう!

 通勤途中の人、散歩する人、ジョギングする人。今の時代、多くの人がイヤホンをして移動をしています。移動の時間を有効に使うのは大いに共感できますが、時には、イヤホンを外して歩くことをお勧めします。忙しいことは即ち「仕事や生活の充実」と、考えている人は案外多いようですが、多忙さの中に、なおゆったりとした時間を持つことが、心をリセットし本来向かうべきものに心を向け、力を発揮させる原動力となります。常に「忙しい、忙しい…」と言っている人に限って、凡ミスが多かったり、効率が悪かったりということはないでしょうか。まさに「忙」という字は、「心」を「亡くす」という意味です。

 できれば、自然を感じる場所を歩くのベターです。木々の色、花の香り、川面のきらめき、そよぐ風、それらは季節ごとにちがった味わいがあり、乾いた心に潤いを与えてくれます。もちろんイヤホンをしていても、香りは分かるのですが、どうしても聴覚が優勢になり、五感を研ぎ澄ますほどではなくなります。

 京都の銀閣寺から若王子神社にいたる「哲学の道」は、哲学者の西田幾太郎氏が、好んで散策しながら思いに耽ったことから、この名前がついたと言われています。四季折々の自然を全身で感じながら人間の営みを「哲学」する。そんな大それたことでなくとも、日々の生活の中で、自分なりの「小道」をつくってゆっくり呼吸しながら歩いてみましょう。少しだけ元気が湧いて、感性が豊かになるはずです。気づきがあれば「ここに来る途中に、キンモクセイのいい香りがしました。秋ですね」などと、会話にも表れます。

 蛇足になりますが、イヤホンをして歩くと周囲とのつながりを遮断してしまいます。車や人が近づく音が聞こえず危険な目に遭ったり、周囲の人がコミュニケーションをとりづらくなってしまったり…。周囲の様子に気づきにくいので、知らず知らずのうちに他人に対する配慮も欠けてしまうおそれもあります。