香典を渡す~袱紗(ふくさ)のあつかい方
成人式の在り方が今年も各地で話題になっていましたが、昔「成人式のお祝いに何を送るか迷ったら袱紗を送るのがいいですよ」と、ある先生が教えてくださいました。
袱紗は、絹やちりめんでできている小ぶりの風呂敷のようなもので、冠婚葬祭の際に、現金やのし袋、品物を包んだりします。今では、安価で販売されていますが、頻繁に買い替えるようなものではないし、あらたまった席で使用するものなので、一生使える良質なものがあると重宝します。
その袱紗ですが、香典を渡す時には作法に注意したいものです。香典とはそもそも「亡くなった人に手向ける香やお花の代金」という意味です。香典袋を内ポケットやバッグからそのまま引き出すのは失礼です。それはいわば、名刺をポケットや鞄から直接出すようなものです。名刺は名刺入れから出すのがマナーであるように、香典袋も袱紗に包んで袱紗から取り出すのが礼儀です。
式場に受付がある場合は、受付で袱紗を開き、係の人に読める向きにしてお渡しします。遺族の方の自宅でお渡しする際も同様に、香典袋を時計回りにして正面を向けて渡します。
香典を袱紗から取り出すとき、先に袱紗を軽くたたんで脇に置き、それから香典を両手でお渡しします。袱紗をたたまず広げたままにして香典を出すのはNGです。袱紗は一度たたまないと、哀しみの気持ちを包んで持ち帰ることになり、縁起が悪いとされています。
なお、香典を袱紗に包むときには、まず、袱紗を広げて置き、袱紗の四隅を天、地、左、右と見立て、袱紗の中央に香典袋を置きます。折り方は、右端を折って香典袋にかぶせ、次に地の部分の隅を上折りにし、天の側を折り下げ、残りの左側を折り重ねます。祝儀袋の場合は、この反対で左→天→地→右の順で包みます。