『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著)は、2020年に日本語版が刊行された本です。著者の主張は「資産を最大化するのではなく、人生の充実を最大化する」。そのために「タイムバケット」「思い出の配当」などの考え方が示されています。タイトルを直訳すると「ゼロで死ぬ」。少し刺激的なタイトルですが、「お金を使い切って死のう」という単純な話ではありません。
「思い出の配当」という、人生最大の資産
著者は、「経験には、その後の人生にもたらされる配当がある」と、言います。それを「思い出の配当」と表現しているのです。
- 旅行に行った
- 家族と食事をした
- 友人と笑った
- 思い切って新しいことにチャレンジした
その経験は、その日で終わるわけではありません。
- 何年後かに「あのときは楽しかった」と、思い出す
- 苦しいときに「あのときも乗り越えた」と、自分を励ます
- 誰かと会話の中で、その思い出が話題になる
- 写真を見返して、もう一度その時間を味わう
つまり、経験は一度使って終わる消費ではなく、人生の中で何度も価値を生み出す資産になるというのです。
「今、経験することの価値」と、「経験を先送りすることのリスク」
人生には、「いつでもできること」と、「今だからできること」があります。
- 体力があるからできる旅行
- 子どもが小さいからできる体験
- 親が元気だからできる時間
- 若いから挑戦できる仕事
- 仲間が揃っているからできること
これらは、単純に「後でやればいい」とは限りません。10年後には、お金が増えていても、体力がなくなっているかもしれない。時間に余裕ができても、一緒に行きたかった人がもういないかもしれない。挑戦する気持ちはあっても、環境が変わっているかもしれない。つまり、「今やらない」という選択には、見えにくいリスクがあります。それは、「将来できなくなる」というリスクです。
経験しないことにも「機会損失」がある
たとえば、「100万円使わずにすんだ」「旅行に行かなかった」「挑戦しなかった」など目の前では「お金を使わずに済んだ」「失敗しなかった」というメリットがあります。
しかし、その裏側には「得られたはずの経験を得なかった」という目に見えない損失があります。そして、この損失は後から取り戻せないことがあります。
また、経験には適齢期があります。だからこそ「今、経験すること」だけでなく、「今、経験しないことのリスク」も考える必要があります。
「思い出の配当」を人生設計に落とし込むための方法「タイムバケット」
「タイムバケット」とは、一言でいうと、「人生をいくつかの期間に区切り、その時期にしかできないことを、あらかじめ入れておく」という考え方です。
普通の人生設計は、「60歳までに◯◯円貯める」のように、お金を基準に考えがちですが、タイムバケットは逆で、「いつ、何を経験したいか」から人生を考えます。
「いつかやりたいこと」を、「いつやるか」考えていきます。
「いつかヨーロッパに行きたい」では、ずっと「いつか」のままです。でも。「55歳までにヨーロッパに行く」と、決めると行動が変わります。(つづく)
