F&Aレポート

「三越にダイソー」〜デパート今昔、その未来は?

  • 先日、市内中心部にあるデパートの向かい側でバスを待っていると、『ダイソーオープン』という垂れ幕が目に入りました。そのデパートとは『三越』です。
  • 高級ブランドや老舗が並ぶイメージのデパートに100円ショップが入るなんて、少し前までなら想像もできなかったことです。
  • その昔、デパートが大好きで、デパートに就職した私。あの頃を思い出すと、今では見かけられない光景が多々あります。
  • デパートの昔と今を比べながら、未来のデパートについて考えてみたいと思います。

お客様には、率先してデパートの紙袋をお渡しする

 今や、買い物をしても袋は有料です。ビニールと紙の袋なら、紙の袋の方が若干お高いところが多いようです。先日、洋服を買って、「袋は有料ですが、どうされますか?」と聞かれて内心「は?」と、思いました。「こんなに(数万円)買ったんだから、袋ぐらいサービスしてよ?」と、心で叫びました。が、袋を買うのも癪なので「袋は、いりません」と言い、商品を腕で抱きかかえるようにして店を出ました。「いや、10円ぐらい払って袋を買いなさいよ」とも、思ったのですが、、、。

 その昔、デパートの紙袋(ショッパー)は率先してお客様にお渡しするよう、先輩から命じられていました。ショッパーの持ち手の部分を片腕に通して、持てるだけ持って、お客様に駆け寄って、「こちらをお使いください」と言って、お渡ししていました。『ショッパーを持ち歩いていただくことが広告になるのだから』と、先輩から教わりました。私がいた案内所の倉庫には、ショッパーが山のようにありました。

昔、デパートは「憧れの場所」だった

 昭和の時代、デパートは特別な場所でした。休日になると家族で出かけ、屋上遊園地で遊び、大食堂でお子様ランチを食べる。帰りには地下食品売場で惣菜やお菓子を買って帰る。「今日はデパートに行く」と、言われると、それだけで一日が大イベントでした。

 店員さんは丁寧なお辞儀で迎え、包装紙はきれいで、店の名前が印刷されて、それを持ち歩くことが、少し誇らしくもありました。

 デパートは「物を買う場所」であると同時に、「夢を買う場所」でもありました。

時代とともに変わっていくデパートの価値

 ところが時代は大きく変わります。郊外には大型ショッピングセンターが次々と誕生し、インターネット通販では、欲しいものが翌日に届く時代になりました。

「早く」「安く」「便利に」なりました。

 この価値観では、デパートはどうしても不利になります。多くの地方デパートが閉店し、全国でその数は減少しています。だからこそ、デパートは新しい役割を探し始めたのでしょう。そのひとつが、『ダイソー』のような日常使いの店を入れることなのでしょう。

デパートは何を売るのか〜図書館の併設

 デパートが売るものは、必ずしも高級品だけではなくなりました。今は「人が来る理由」をつくることが重要です。100円ショップがあれば、これまでデパートには縁遠かった若い人も立ち寄ります。ついでに、デパ地下で買いものをするかもしれません。洋服や雑貨も見て帰るかもしれません。

 つまり、デパートは「目的地」から「立ち寄る場所」へ姿を変えているのです。

 広島駅の向かいにある老舗デパートでは、今年から市立図書館が併設され、デパートの上層階3フロアーを占有しています。そこは、膨大な数の書籍を備えるだけでなく、自習室や、ゆっくりくつろげるスペースが存分にあり、広島の産業、文化、歴史を伝える郷土資料館もあります。図書館がオープンして、デパートは平日の昼間でも賑わうようになりました。これこそ、デパート=「立ち寄る場所」といえるでしょう。デパートの未来は、「いかに地域と人とつながるか」。そんなところにヒントがあるような気がします。