F&Aレポート

オリンピックがもたらすもの 2~「冷凍食品」「家電」そして、東京2020のレガシーは?

オリンピックがもたらすもの 2~「冷凍食品」「家電」そして、東京2020のレガシーは?

 東京2020オリンピックがもたらすもの。それは、「地球環境保護」や「多様性」への意識高まりといわれています。かねてから、そのようなムーブメントはあったものの、世界的なコロナ感染の広がりに伴い、「命の安全」や「気候変動に伴うリスク」「貧富の格差」といった、いわゆる「SDGs」に提唱される「持続可能な社会」「持続可能なオリンピック」への注視は一段と高まりました。

 今回のオリンピックでは、LGBTQアスリートの出場は史上最多の163人といわれています。これは前回のリオオリンピックの2倍以上の数です。そのうち6名は開会式の旗手を務めています。

 世界的な意識の高まりは、当然今後の私たちの仕事や生活にも及び、世界を変えていきます。

 今回のレポートでは、IOC(国際オリンピック委員会)が配布したジェンダー平等のための報道ガイドラインの一部をご紹介します。これらのガイドラインは、オリンピックだけでなく企業活動の広告、SNS、HPなど、同様に注視されているものとみていいでしょう。

 ●多様性を認める ~ジェンダー平等という世界的な意識の高まりの中で

  東京2020オリンピック開会式の旗手が、男女ペアで行われたことが話題になりました。また、IOC(国際オリンピック委員会)は報道関係者に対し、ジェンダー平等で、インクルーシブ(排除される人がいない状態)な描写をするためのガイドラインを配布しました。

 実際どの程度配慮されているものかはわかりませんが、一部をご紹介します。

(1)ジェンダー・フォーカス・ファースト

「スポーツウーマンは、多くの場合、まずは性別またはジェンダーの役割(妻、母親、女性らしさ)によって定義され、次にアスリートとして定義される。スポーツマン(男性アスリート)に関してはそうではない」(ガイドライン)

 IOCはジェンダーやセクシュアリティに関係なく、また外見にも関係なく、アスリートのスキルと実績に主眼が置かれるべき」とし、本人が自ら進んで情報提供をしない限り、夫、パートナー、子どもに関する質問をするのは避けるように呼びかけている。

●ジェンダーに配慮した言い換えの事例

IOCは、「ジェンダーバイアスを取り除き、よりインクルーシブな表現を取り入れる」方法として次のような言い換えを提案している。(*ジェンダーバイアスとは、認識された性別に基づいて、個人またはグループに影響を与えるような偏見に満ちた行動や考え)

・ イランの女性スキー選手が平昌への道を切り開く→イランのスキー選手が平昌への道を切り開く
・ セクシーなバレーボールスターが誕生日を祝う→ケニアのバレーボールスターが人生の新たな節目を祝う
・ 「ああ、ひな鳥のように少女たちが泣いています」 →「メダリストたちにたくさんの感情が溢れています」
・彼女はレースに勝つために、まるで男性/野獣のように泳ぎました →彼女はレースに勝つために、相当の覚悟で泳ぎました
・彼女は去年の夏に北京で、出産後の体を披露しました。 →北京の世界選手権で金メダリストのエニスヒル選手は、体の可能性を見せつけました、

<避けるべき用語>「セクシー」「美しすぎる」「美女アスリート」「美少女」「女の子っぽい」「男らしい」「イケメン」「ママさんアスリート」

このほか、女性アスリートを「ちゃん」付けで呼んだり、愛称で呼んだりする場合に、アスリートの価値を嬌小化、過小評価することがないよう呼びかけている。

●画像・映像で必要な配慮 ~避けるべきビジュアル

・ 受動的でセクシーなイメージを避ける。それらの表現は、ジェンダーのステレオタイプを再生産させる。
・ 不必要に容姿に注目しない。容姿、ユニフォームや身体の一部(股間のショット、胸の谷間、お尻)などアスリートのパフォーマンスに特に関係ないものに画像の焦点をあてないようにする。「性的魅力ではなく、スポーツの魅力」を描くようにする。
・ パフォーマンスとは無関係に同じアスリートだけ、あるいは特定のアスリートを過剰に映し出すのを避ける。当然、男性のジェンダーバイアスも配慮されるべきだ。オリンピックの報道が多様性を尊重し、平等性を保っているかどうか注視したい。