F&Aレポート

一見、ムダに見えるマナーの隠れた効率性

 世の中、何につけ「タイパ(タイムパフォーマンス)」「コスパ(コストパフォーマンス)」を求められるこの頃です。仕事だけでなく、恋愛や結婚まで効率を求めている情報記事も目にします。現代人はちょっとでも効率が悪いと感じると、ひどく損をした気分になってしまうのかもしれません。こうなると、人生全般が「ザ・効率!」です。

 ビジネスマナーも、「今さら、そんなこと意味があるんですか?」と、言う人もいます。たしかに、AIやDXの進化で仕事のスピードは上がりました。確かに仕事が速いことは良いことですが、「丁寧さ」は「速さ」を邪魔するものなのでしょうか。

 そもそも「丁寧さ」と「速さ」は、対立軸にあるものではありません。「ひと声かける」「念を入れて確認する」「あらかじめ情報を共有しておく」など、丁寧な仕事の進め方は、結果「効率アップ」につながります。さらに「信頼度アップ」にもつながり、仕事は手戻りなく、スムーズに進みます。

・「効率化」=短期的に成果をあげる
・「マナー」=長期的信頼を築く
 一見相反するように見える二つは、対立ではなく補い合う関係です。

 ただし、マナーが形骸化すると、「信頼を築く」という目的を失い、非効率な行動になってしまいます。形だけのマナー、状況に合わない過剰なマナーや礼儀など、形式にとらわれすぎると逆効果です。

 メールの返信は、定型文に一言プラス。会議や打ち合わせは、礼儀を保ちながら、課題共有して時短に努める。接客は丁寧さと簡潔さの両立を工夫する。部下への指示、連絡は「さん付け」で労いの一言を添えるなど。

 効率を意識しながら、心を伝えたいものです。「思いやりのある効率化」のために、ビジネスマナーを、今一度見直してみましょう。