今年も一桁台最後の月9月になりました。まだまだ真夏の天気が続いています。例年になく続く暑さで身体の中には自覚している以上に疲労が蓄積しているかもしれません。無理をせず、休養を取りながら、身体を労って夏の疲れを取っていきましょう。
先日、大きな記事ではありませんでしたが、国が進める洋上風力発電事業について、国内3地域の事業を進めていた三菱商事が計画から撤退するというニュースがありました。報道された情報によると、撤退の大きな要因は、業界の中でも価格破壊と言われる最安値で受注したものの、建設費の高騰で当初の計画では巨額の赤字が発生する可能性が出てきたというものです。建設費の中で重要な風車については、日本にはメーカーがなく、海外のメーカーに頼らざるを得ない状態で、そのコストがこの4年間で1.5〜1.8倍となったと言われています。
日本の電力はその約8割が化石燃料による火力発電に依存しており、将来に向けて脱炭素化が求められています。風力発電については、電源全体の割合を現在の1%から2040年度には4〜8%までに伸ばす方針で計画が進められていました。日本国内は平地が少ないことから太陽光発電はもう限界と言われており、国として風力発電に期待がかかる中での今回のできごとだったわけです。
中小企業経営とは直接関係ないように思えますが、注目しておくべき項目が浮かんだので、その点を取り上げます。
まず最先端技術に対する取組です。既存の技術は低価格で提供されており、これを使ってコストを引き下げることはできますが、新しい技術は価格も高く二の足を踏むということがよくあります。中小企業であっても、最先端技術を意識して、可能であれば、少しでも新しい技術を導入しながら経営を行っていこうとする意識はとても重要です。
次にコストの問題です。経営者であれば少しでもコストを削減しようという意識を持つのは当然です。しかし、そのコストとは購入価格のことだけを意識していないでしょうか。例えば、今まで3時間かけていた作業を1時間で終わらせるためにどうすれば良いか、作業コストの低減という検討をされたことはあるでしょうか。製造現場がある事業ではその意識はあると思いますが、今注目すべきなのはAIの活用です。最近のAI技術の進化は、今まで人が担ってきた仕事を任せることができるという従来の考え方では思いつかなかった省力化が可能になっています。もちろん実現のためには課題も沢山ありますし、全面的なAIへの依存は難しい面もあります。しかし、人材不足が切実な問題となる中で、AIの活用は喫緊の課題です。
中国と比較すると、日本は品質重視の国です。そこへのこだわりから、価格面では中国に対抗できず、国際競争力が落ちています。品質を維持しながら価格を下げるための手段の一つとして、AIの導入はとても重要です。AIを導入し、作業を効率化するという柔軟な発想が経営者に求められていると言えるのではないでしょうか。
国が風力発電に取り組む目的の一つはGX、温暖化への取組でもあります。この暑さに直結していると思えば、早く実現してほしいものですね。