F&Aレポート

「人的資本経営」は、人事だけに任せられるのか? 3 〜中小企業で「十分に取り組めている割合」はわずか3.2%

 中小企業で「人的資本経営」に取り組んでいる割合は、実施状況や意識に大きなギャップが見られるものの、ある民間団体の調査によると、人的資本経営に「十分取り組めている」と回答したのは3.2%にとどまっています。

 また、「ある程度取り組めている」まで含めても、21.2%(3.2% + 18.0%)に過ぎず、それ以外の78.8%は「ほとんど取り組めていない」としています。

 一方で、人的資本経営を「重視しているか」の回答は、「とても」または「やや重視している」が、58%に上ります。つまり、「重要だ」と認識している企業は多い一方で、実際に取り組めている企業は非常に限られており、現状と乖離しているのがわかります。

<中小企業の人的資本経営 導入ステップチェックリスト>

現状把握

従業員の人数・年齢構成・勤続年数を把握している
離職率や採用状況を数値で見える化している
従業員満足度や職場課題を把握するためのアンケートや面談を定期的に行っている

経営方針・ビジョンとの連動

経営理念や将来像を言語化している
その中で「人材に期待する役割」を明確にしている
経営層が「人を資産として育てる」意識を持っている

採用・定着

採用時に「会社の文化・価値観」を伝えている
入社後の研修・OJT体制が整っている
離職理由を分析し、改善策を実施している

育成・能力開発

社内外の学習機会(勉強会・研修)を設けている
資格取得やスキルアップを支援する制度がある
若手〜中堅〜ベテランそれぞれのキャリアプランを意識している

エンゲージメント・働きがい

働き方の柔軟性(残業抑制・有休取得促進・時短等)を意識している
健康診断やメンタルケアの仕組みがある
安心して働ける職場環境(安全・ハラスメント対策)が整っている

効果測定・改善

人材施策の効果を「数値」で確認している(離職率、採用コスト、研修受講率など)
定期的に改善サイクルを回している
経営層・従業員と情報を共有している

 「人的資本経営」実施の小さな一歩として、経営層が直近(過去3年)の離職率を把握しているか。また、その理由が明らかになっているかどうか確認してみてください。さらに「従業員満足度」(ES調査や1on1ミーティング)を定期的に実施してみましょう。

「従業員満足度」をはかる最も有効でシンプルなやり方に、「あなたの息子(娘)をこの会社で働かせたいか」という質問があります。是非、実践してみてください。