皆さん こんにちは
今朝のテレビで収穫が始まった高知県産の早場米のニュースをやっていました。一時期から比べて、米も多少値段が下がり、出回るようになり落ち着いてきたように見えますが、価格は昨年のほぼ倍のようです。国内での農業政策は、農家の保護と言いつつ、見方によっては破綻状態でした。今まで注目されていなかった分野に光が当たり、改善に動き出すことができれば、それは良いことです。
先週のメールをお送りした直後、米国と日本の間の関税交渉が合意に達したというニュースが流れました。8月1日に10%から25%に引き上げられる予定だった相互関税が15%となり、日本企業は米国に対して5500億ドル(約80兆円)の投資を行うこととなりました。関税率が引き下げられる合意が得られたということでホッとした空気が拡がっています。
日本人的な感覚として、怒っている相手方が笑顔になった今回の合意をつい良いものとして受け止めるかもしれません。しかし、問題は後者の投資金額と内容です。日本の2024年における名目GDPにおける設備投資額は106兆円であり、日本が米国に投資する金額はこれに近いものとなります。それだけのお土産があれば、先方も笑顔になりますよ。
冷静に考えて、日本国内に投資していたものをすべて米国に投資するようなことが果たして可能なのか。ゼロにはならないとしても、国内投資=GDPが大きく減少する可能性は高い。仮に投資ができたとしても、巨額の資金が日本から米国に流れると、円安が進み、物価上昇圧力になります。少子高齢化を迎えて、国内投資も効率的に行うべきこのタイミングで、米国に持っていく資金があるのか、です。
27日にはEUも相互関税を巡って米国と15%で合意しましたが、その条件は6000億ドルの対米投資と3年間で7500億ドルのエネルギー購入などです。投資金額では、日本とほぼ同額であり、日本の投資金額が相対的に巨額であることが分かります。
もともと米国の関税を巡る問題は、米国が一方的に高額の関税をふっかけ、それを引き下げる条件が米国内の投資以外の選択肢はほぼなかったものです。つまり、もともと不利な条件を呑まざるを得なかったということです。米国はこの交渉のようなものを世界中とやっているわけです。今後の米国経済を考えると、国内の消費パワーが衰退して日本からの輸出が減少するのか、今回のような交渉で日本国内の活動が米国に吸い上げられて自国のパワーが落ちていくのか。トランプによる関税政策がなかったとしても、日本経済は米国から生み出す利益は減少していく可能性が高かったのかもしれません。
ではどうすれば良いのか?このメールでも何度か触れたように、米国には根の深い様々な問題があり、そのような国の経済をいつまでも頼って良いのかという問題があります。トランプ政権はいずれ交替するかもしれませんが、その体質はしばらく変わらないでしょう。経済的なことを考えれば、日本も、EU、東南アジアはじめとする米国以外の経済圏との結びつきを今まで以上に深め、米国一国依存体制を見直すときかもしれませんし、すでに交渉は始まっているように見えます。右から左にと簡単に移行することはできないでしょうから、一時的にかなり不景気になったり混乱することが予想されます。また、日本があまり得意でないとされる諸外国との交渉もタフであることが求められます。そのためにも、今回の参院選のように古い体制を見直し、新しいものを構築していくことではないでしょうか。また、諸外国を頼るだけでなく、今さらながら自国の独立という意識を持つことだと思います。まさに不平等条約全盛だった明治時代という振り出しに戻ろうとしているのかもしれません。
ちなみに、愛媛県で米国の関税の影響を受ける県産品の一つがブリです。このブリの出荷は、脂がのる11月頃から始まります。そのころの関税は15%のままなのか、上がっているのか下がっているのか、どうなっているのでしょうか。
最近は、難しい問題を考えることが多くなってしまいました。いろいろなことを調べ、考えるようになりました。大変だけど、とても大切なことだなと思います。でも、たまには軽い話題に触れてみたいです。