ボストーク松山藤原塾

ロックだぜ!

皆さん こんにちは

やっと蝉が鳴き始めました。積乱雲も広がってきて、これからが夏本番です。ただ、高松の最高気温が連日35度と報道される中、松山の最高気温は32度くらいにとどまっています。でも、暑いですよね。

訃報です。音楽評論家で編集者だった渋谷陽一さんが7月14日亡くなりました。74歳でした。彼は1970年代から主にロック系の洋楽をラジオで取り上げていて、私も高校時代に彼の番組をよく聴いていました。流れてくるアメリカンロックと彼の語り口がカッコ良いな、と思ったものです。そんな時代の変化を感じさせる出来事がありました。

7月20日に投開票が行われた参議院選挙については、与党である自民、公明両党の議席が過半数である50議席に届かず、47議席にとどまりました。自民党が野党となった2009年は、当時の民主党が政権をとり、2大政党制とも言える様相でしたが、今回は、数多くの政党が議席を持つ形となり、政策決定のプロセスがどのような形になるのかひじょうに分かりにくくなる可能性があります。

この選挙を勝手に総括すると、1980年代初頭のバブル崩壊から日本経済が低迷した失われた30年の間に国民に溜まった不満のマグマが、コロナ明けからの物価上昇という変化を発火点として一気に爆発し、既存の政党に対してNoを突きつけたと言えるのではないでしょうか。つまり、石破内閣が悪いかどうかではなく、自民党その他の既存政党そのものに対する不満であり、消費税減税レベルのものが争点ではなかったのかもしれません。

今後の国会運営は、しばらく混乱すると予想されますが、その後、自民党が復活して既存のかたちに戻るのか、まったく違う政治の形態に変化するのか、それを国民がどのように見つめるのか、ということになるのだと思います。

政治に限らず、国内には何十年も変わらないままの組織、体制が無数にあります。例えば、私の所属する税理士業界は、私が税理士になってから40年近く、それ以前のことを考えると60年近くほぼ何も変わっていません。ほとんど報告に近い内容で何時間もかける対面式の会議、書類ベースの情報のやり取り、会議の後の飲み会。コンピュータすら身近でなかった60年前の儀式を続ける意味がどこにあるのか。政治の世界の発想もほぼこれと同じようなものだと想像します。政治でもビジネスでも、対面で話すことでニュアンスや思いが伝わるというのは分かります。しかし、それは例外的なもの、どうしても必要なときに行うもので、効率性を考えれば無駄なものです。これは例えばと思いついただけで、根本的なものはもっとたくさんあるはずです。実際に転換していくことは大変なことだと思いますが、これだけ行き詰まった世の中を変えていくためには、発想の転換、思い切ったことに取り組む覚悟が必要です。政治に限らず国全体が、今回の選挙をきっかけに変わっていけば、最初はしんどいかもしれませんが、将来の日本にはすごいチャンスになるかも、とも思えます。

ちなみに米国は、ほとんどの選挙区が勝者総取り方式=一番得票数の多い候補がすべてを取る仕組みになっているなど制度的に第三党が生まれにくい仕組みになっています。言い換えれば、日本や欧州にあるようなたくさんの政党が生まれてくる制度になっていません。その結果、少数派の意見が取り上げられない、対立が分断が起きやすい、新しい変化への対応が遅れるという問題点が出てきます。今の米国の情勢の背景にはそのようなことも要因の一つだと言えます。つまり、日本の選挙制度は柔軟に国の形を変えられる制度とも言えます。

そこで必要なのは、ロックだぜ!というノリなのかもしれません(ちょっと古いけど)。