「『絶滅の危機』にあるもの」と聞くと、恐竜やマンモスのような生き物を想像しますが、今、絶滅危機にあるのは「日本のことば・方言」なのだそうです。
文化庁が発表したユネスコ(国連教育科学文化機関)の統計によると、世界で約2,500に上る言語が消滅の危機にあると掲載されています。中でも、日本国内では、8言語が消滅の危機にあるとされていて、それぞれの危機の度合いは次の通りです。
【極めて深刻】アイヌ語
【重大な危機】八重山語、与那国語
【危険】八丈語、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語
ユネスコでは「言語」と「方言」を区別せず。すべて「言語」で統一しています。日本国内での一般的な呼び方としては、「アイヌ語」「八重山方言」「与那国方言」「八丈島方言」「奄美方言」「国頭方言」「沖縄方言」「宮古方言」となります。
こうした言語が消滅すると何が問題なのか?それにはいくつかの理由があります。
1、文化の継承 言語は文化を伝える重要なツール。その言語を失うと、文化や歴史、伝統、価値観などが失われる恐れがあります。言語や方言には、その地域独特の文化や歴史を反映していて、言語消滅は文化遺産の喪失にもつながります。
2、知識の保存 各言語には、その言語が持つ独自の自然観や世界観が反映され、知識が眠っています。たとえば、少数言語の語彙はその土地特有の植物や動物、自然現象に関する知識を内包しています。それらを失うと、貴重な知恵や知識が失われる恐れがあります。
3、多様性の維持 言語の多様性は、人類全体の豊かさを指す要素です。消滅危機言語を守ることは、人類の多様性を守ることにもつながり、より豊かな未来を築くために不可欠です。
言語(方言)はアイデンティティです。日本の多様な言語文化を次世代に継承することは、個を尊重する豊かな社会につながります。私たちはまず、身近は方言を見直してみる必要がありそうです。