F&Aレポート

2025年 新入社員・若手社員に見られる傾向

 古代メソポタミア文明の遺跡に「近頃の若い者は」という文字が刻んであるそうです。古今東西「若い人」は、新しい文化を持ってやってきます。旧いものと新しいものの融合が、チームのパワーになれば、これほど嬉しいことはないでしょう。長年人材育成に携わってきて、肌で感じる最近の「若手」の特徴をまとめてみました。

敬語や言葉遣いが苦手 〜 電話対応、メール作成、コミュニケーションに影響

 新入社員研修の前に、自身の課題や目標を聞いてみると「敬語や言葉遣いが苦手なので、しっかり学びたい」という人がほとんどです。

「敬語」「言葉遣い」は、電話の受け答えやメールの書き方、名刺交換やホウ・レン・ソウなどの日々のコミュニケーションにダイレクトに関わります。

 能力は高くても、「言葉遣い」に自信がないため、一歩前に出ることができない消極的な姿勢になってしまうといことも珍しくありません。具体的には、目の前の電話が鳴っても出ない、初対面(特に目上の人との)が苦手で営業が振るわないといったことや、単純に、文書作成やメール送付に時間がかかりすぎるといったことです。

「学校や家庭」の言葉は友達感覚。社会人生活との乖離

 学校に訪問すると、生徒が先生に対して『タメ口』で会話をしている情景をよく見かけます。先生と生徒の会話が友達のようで、その関係性はどんどんフラットになっているように感じます。「話しやすい先生」「馴染みやすい学校」であることは、素晴らしいと思う一方で、生徒たちは一体どこで敬語を学ぶのだろうと感じることもあります。国語の時間に敬語を習ったとしても、日常的に耳にしたり、使ったりしないと身につきません。

 では、家庭ではどうでしょう?家庭の中こそ「敬語」は、ほぼ絶滅しています。

 核家族化が進み、おじいちゃんやおばあちゃんに対して敬語で接する姿を見ることも少なくなりました。お母さんがお父さんに対しても敬語は使わないでしょうし、その逆もなさそうです。

 そもそも塾やクラブ活動などで、家族と会話する時間は少なくなり、家にいても、それぞれが携帯やスマホに向かっています。「親子」という縦の関係よりも、「友達親子」で、なんでも気楽に話せるフラット関係の方が、良いとされている風潮もあります(子供が親を名前で呼ぶなどの家庭もあります)。

 家庭で「敬語」を学習する機会はなさそうですが、社会人になると「敬語」が中心になります。ここの乖離は大きいと思います。

「怒られたことがない」 ハラスメント意識は高め

 新入社員が仕事上でミスをして、上司から叱責を受けたことがショックで、次の日から来なくなったという話を聞くのは珍しくないことです。叩かれて育った昭和世代からすると、信じられない話かもしれませんが、「怒られたことがない」という人は案外多いのです。そのため、「自分自身を否定された」「パワハラを受けた」となるわけです。

 そういったケースに、本人に代わって親が電話をしてくることもあります。「退職代行」業者が、月曜日の朝にいきなり電話をかけてきた事例も聞いたことがあります。

「失敗したくない」「泣き出す」 受け身の方が安全か?

 「怒られる」ことに慣れていない人たちは、失敗することを嫌がります。余計なことをして間違えると大変、正しいやり方で進めたいと思うあまり「正解」を探すことに時間がかかり「思考停止」になることも。研修では、ケーススタディーで「うまくできない」と、いった理由で泣き出す人を見かけるのも、ここ数年の変化かと思います。

 そういう世代の人たちに、むやみに「チャレンジ」とか「失敗を恐れず」というのは、果たしてどの程度響くのか……。「一緒にやろう」という共感型のメッセージの方が、イメージしやすいのかもしれません。

スマホ、ゲーム、イヤホン

 休憩時間はイヤホン&スマホ&ゲームというのは日常的で、人との関わりを絶っているように見えますが、たいていはそうでもないようです。実際に聞いてみると「用事があれば声をかけてください」という、悪気ない「待ちのスタイル」なのです。