11月になりました。あっという間に今年もあと2ヵ月を切りました。あっという間と言えば、10月は総選挙で駆け抜けた月でもありました。10月9日に衆議院解散、15日公示、27日に投開票でした。選挙結果についてはすでにご存じの通り、自⺠・公明両党の与党が獲得した議席数は215議席と過半数の233議席に及びませんでした。与党の過半数割れは、当時の⺠主党政権が誕生した2009年以来15年ぶりとなります。この結果、政治運営は不透明感が増しています。15年前は⺠主党が衆議院で過半数を取ったことで、一応政権としては安定的と言えましたが、今回は立憲⺠主党、国⺠⺠主党、日本維新の会など野党も一本化できる情勢ではありません。しかし、見方を変えれば、政治家のリーダーシップをハッキリ見極められるようになったわけで、政策の立案〜決定にあたって、国⺠生活を考えた議論が行われているのかを見ることができるわけです。政治家も大変だと思いますが、国⺠も政治家の動向を冷静に見ていく必要があります。また、マスメディアも、スキャンダルを追いかけるだけでなく、国会での政策に関する議論を客観的に、そして深く見ていくことが求められます。具体的には国会で審議される政策の影響や背景をデータ等に基づき分析し、その問題点や可能性を感情的にではなく、理論的に分析し、説明することです。
10月のもう一つの大きな出来事は、米国大リーグのワールドシリーズでしょう。大谷翔平や山本由伸が所属するロサンジェルスドジャースが、ニューヨークヤンキースを抑えて4年ぶり8回目のワールドシリーズ制覇を成し遂げました。この夜のニュースは、国会ではなく野球がトップというところも多かったのではないかと思います。
それは良いことですが、日本中が野球に沸くと言えば、甲子園の高校野球も日本中が注目するイベントです。しかし、日本の中にも、野球にはあまり興味のない人もいます。米国はその点がハッキリしていて、アメリカンフットボールやバスケットボールの方が人気があり、野球の人気は低下傾向にあるようです。また、もともとスポーツ自体に興味がない人の数もあります。それぞれの個性がハッキリしていて、それが尊重される。国⺠の多数が何かに集中するということは、ほぼないのではないかと思われます(太平洋戦争はその例外かもしれません)。日本では、国がまとまることを良いことと捉える風潮もありますが、米国では自分の意見を持つこと、多様性が尊重され、この違いは大きいところです。
その多様性を強く感じられるのが、11月5日に行われる米国大統領選挙です。ふたりの候補者はどちらも強烈に個性的です。米国社会には、貧富の格差、多発する犯罪、失業リスク、ヘルスケアと社会福祉、教育の不平等など日本では考えられないくらい多様で複雑な問題があり、国⺠の考え方も同じように多様で複雑です。米国大統領選挙もこの視点で、日本の総選挙や野球と比較しながら見ると、ちょっと違うことに気が付くかもしれません。