前回のレポートで「問いかけ方が変わると、反応が変わる=本音が見える」を、レポートしましたが、人間関係は「相手の何を引き出すのか」によって良くも悪くもなります。自分自身の態度や反応が、相手の反応を引き出すのです。今回は「問いかける」側ではなく「答える側」による、「対人反応」をご紹介します。(「メンタルにいいこと超大全」宝島社)
相手の反応は、自分の出方に影響される
入社時やその後の研修などで、自分自身のコミュニケーションパターンを理解するためによく行われる「交流分析」(エゴグラム)。提唱したのは精神科医、エリック・バーン氏。彼は対人関係において、「自分の状態によって、相手の反応が切り替わる」というパターンを理論化して「対人反応」と名付けました。
エリック・バーン氏による人間の内にある5つの自我状態 (人と関わる時の思考や感情、行動の癖) | |
CP(Critical Parent) | 厳しく批判的な部分、父親的な部分 |
NP(Nurturing Parent) | やさしい部分、母親的な部分 |
A(Adult) | 冷静沈着な部分、社会人としての大人の部分 |
FC(Free Child) | 天真爛漫で自由な部分、自由闊達な子供の部分 |
AC(Adapted Child) | 従順もしくは反抗する部分、おとなしい良い子の部分 |
この理論によると、自分の状態や対応を変えることで、相手からの反応も切り替えられる可能性が高まるということになります。エリック・バーン氏は自分の状態を5つに分け、それぞれどの状態を誘発するかを説明しています。
たとえば、自分が厳しく批判的(CP)に言うと、相手は従順、もしくは反抗する(AC)可能性が高い。逆に、自分が優しく言うと(NP)、相手は自分らしい自分を出せる(FC)。また、自分が冷静沈着(A)に話をすれば、相手も冷静沈着(A)に話をしてくれる。
自分が天真爛漫で自分らしいスタンス(FC)で接すれば、相手の優しさ(NP)を引き出すことができる(相手も天真爛漫になるケースもある)。
では、自分が従順に対応する(AC)と、どうなるでしょうか。実は、相手の厳しく批判的な部分(CP)を誘発してしまうのです。
従純な対応の典型的な例は、背中を丸めて前かがみになっていたり「はい、はい」と相手の言いなりになっているケース。
もしこうした対応をとられがちだという自覚があったり、自分だけがよく怒鳴られていたりするような場合は、姿勢をよくして落ち着いて現状を分析してみるといいでしょう。
ハキハキと語尾まではっきり話し、冷静に対応する(A)ようにすれば、相手も冷静な対応(A)となり。無駄に怒られることもなくなるはずです。
弱いポーズをとると、ますます弱くなる
日頃、どんな姿勢をとっていますか?小さく縮こまってしまうような人は、それだけでストレスホルモンまみれになってしまうのだそうです。ポーズを変えるだけでやる気に満ちて自信に関わるホルモンが増えることがわかっています。
ハーバード大学教授エイミー・カディ博士によると、体を大きく見せ、手や腕を広げた開放的なポーズを2分間とると、やる気や自信につながる男性ホルモン、テストステロンの分泌が増加することを突き止めました。一方、腕や足を組み、自分が小さく見えるポーズを2分間取ると、ストレスホルモンのコルチゾールが増えてテストステロンが減少しました。博士は前者を「パワーポーズ」と言い、後者を「弱いポーズ」と名付けています。
重要な場面を前にした際、萎縮した姿勢になりがちな人は多いのですが、そんな時こそ、堂々とした姿勢を保っていれば、無意識のうちに自信がわいてくるのです。自分の「パワーポーズ」を決めておきましょう!