F&Aレポート

「みんな」の持つチカラ

 子どものころ、欲しいものを親にねだる時、必ず言っていた言葉があります。それは、「みんな持っている」です。私自身も親になって、子どもから「みんな持っている」と言われると、不承不承でも納得せざるを得ない状況がありました。良い悪いは別として「みんな」が持つ力は侮れないものです。しかし、お国が違えば、それはまた異なるのかもしれません。国民性のちがいを表す定番ジョークをご紹介しましょう。

豪華客船が沈み始めました。船長は乗客を速やかに脱出させなければなりません。

海に飛び込むよう指示をするのです。船長はそれぞれの外国人にこう言いました。

  アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄だ」

  イギリス人には「飛び込めばあなたは紳士だ」

  ドイツ人には「飛び込むことが、この船の規則となっています」

  イタリア人には「飛び込むと女性にモテますよ」

  フランス人には「飛び込まないでください」

  日本人には「みんな飛び込んでいますよ」  (早坂隆 『世界の日本人ジョーク集』)

 日本人は同調圧力が強いと言われますが、よく考えれば「みんな」って誰?「みんな」って一人残らず全員ということ?と、突っ込むことができるのですが、時間のない時や、権威のある人から言われると、考える力を失ってしまいます。また、社会心理学では、曖昧な事実でも「みなさんもご存知のように」というフレーズを使うと信憑性が高まるというデータがあります。オンラインショッピングをするときも、「今、10人の人がこの商品を見ています」というポップアップが挙がると、その商品の価値がグッと上がったり、「ポチッとしなきゃ(買わねば)」なんて気持ちになります。私たちは自分で決断したと思うことでも、意外に他者(みんな)によって動かされていることがあるようです。