F&Aレポート

組織にも個人にも、メリットしかない健康経営のススメ 2 「プレゼンティーイズム」と、「アブセンティーイズム」

組織にも個人にも、メリットしかない健康経営のススメ 2 「プレゼンティーイズム」と、「アブセンティーイズム」

 ワーク・エンゲイジメントは、健康増進と生産性の向上の両立につながるポイントとなる概念として、メンタルヘルス対策でも注目されています。

 また、ワーク・エンゲイジメントは、仕事の資源と個人の資源によって高めることができます。健康経営では、組織と個人の両方に向けた取り組みが、ワーク・エンゲイジメントの向上に有効と考えられています。

1、ワーク・エンゲイジメントとは

 ワーク・エンゲイジメントとは、次の3つが揃った状態をいいます。
 「仕事に誇りややりがいを感じている」(熱意)
 「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)
 「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)

 ワーク・エンゲイジメントは、バーンアウト(燃え尽き)の反対の概念として位置付けられています。バーンアウトした従業員は、疲弊し仕事への熱意が低下しているのに対して、ワーク・エンゲイジメントの高い従業員は、心身の健康が良好で、生産性も高いことがわかっています。

2、なぜワーク・エンゲイジメントに注目するのか?

 従業員一人ひとりが健康でいきいきと仕事に取り組むことは、従業員の幸せ(well-being)にとっても、組織全体の生産性にとっても重要です。これまでメンタルヘルス対策と経営が相互に協調することは多くありませんでした。しかし、産業構造と働き方の変化、少子高齢化などの社会環境の変化に伴い、従業員一人ひとりが健康で、かつ「いきいき」と仕事に取り組むことが重要になってきました。つまり産業保健にとっても経営にとっても発想の転換が求められるようになったのです。ワーク・エンゲイジメントは、科学的根拠に基づく健康経営を進める上で重要なキーワードになります。

3、ワーク・エンゲイジメントとワーカホリズム

 ワーカホリズムは、活動水準が高く、仕事に多くのエネルギーと時間を阻止でいる点で、ワーク・エンゲイジメントと共通していますが、ワーカホリックな人は「強迫的」に働くのに対して、ワーク・エンゲイジメントの高い人は「充実感を覚えながら」働きます。

 ワーカホリズムは仕事への態度が否定的であるところが、ワーク・エンゲイジメントと異なっているのです。またワーカホリックな人は完璧主義で、周りから期待以上の成果を常に出そうと思っているため、仕事のことが頭から離れません。職場から離れると罪悪感を覚え、不安で落ち着きません。ワーク・エンゲイジメントの高い人は「集中型の努力」ワーカホリックな人は「我慢型の努力」で特徴づけられているといえます。

4、ワーク・エンゲイジメントを高める組織の工夫と、個人の工夫

<ワーク・エンゲイジメントを高める組織の工夫>