世界史ではなく、塩の歴史を勉強しよう
「入社1年目の教科書」(岩瀬大輔著 ダイヤモンド社)では、「学生時代の勉強がインプットなら、社会人の勉強はアウトプット」といい、社会人は、実際にビジネスの現場で役立つ学びを得ることが重要で、一般的な教養を獲得する勉強とは一線を画すと考えることが重要といいます。
たとえば、教養を高めるために「世界史を学ぶ」とします。世界史といっても膨大かつ多方面にわたるテーマがあり、何から手をつけていいのか見当もつきません。学ぶべきポイントも散漫になるため、自分の身につくものも限られてくるでしょう。
この場合、世界史という広範なテーマではなく、たとえば「塩の歴史」の勉強をするという絞り方をしてみてはどうかと提案しています。
塩は、人間の生命をいじするために必要不可欠の物質です。太古の昔から、塩の確保は生命に関わる重要なことでした。それが発展して、塩が貨幣のような役割を果たした時代がありました。給料のことをサラリーと言いますが、その語源はラテン語の「salarium(塩の)」という言葉です。
塩の確保が命題になると、必然的に生産国と非生産国の格差が生まれます。そこに貿易が発生し、関税、金融などが関連してきます。塩の歴史を深く掘り下げて学ぶことで、金融史、経済史、貿易史まで学べることになります。
世界史を勉強するのではなく、焦点を絞った塩の歴史を狭く深く学ぶ中で情報を手繰り寄せ、役に立つインプットを得てアウトプットに活用するのです。
業務で使用するエクセルやパワーポイントを入門書で勉強するのも、もちろん素晴らしいことですが、漠然とスキルを高めるだけでは、社会人の勉強としては物足りないものになります。これから取り組む仕事の完成度を高めるために必要なことを勉強し、教養を高め、同時に人間性を高めることが社会人の勉強の仕方ということになります。