F&Aレポート

アップアップ読解力2「言いかえ力」~具体と抽象~

アップアップ読解力2「言いかえ力」~具体と抽象~

 ずいぶん前のことですが、ある雑誌の記事を書いていたときに担当責任者がこう言いました。「わかりやすい文章を書く人は、『たとえば』とか『具体的には』って言葉が多いのよね」と。それから私も意識してその二つの言葉を使うようになりました。会話でも、文章を書くときでも。

 読解力を解説する本の中では、それを「具体」と「抽象」と表記されています。たとえば、「その仕事は、とても大変でした」と言うとかなり抽象的な表現になります。大雑把な表現といってもいいでしょう。しかし、「その仕事は、多くの工程があり、予想していたよりも3倍の時間がかかりました」と言い換えると、具体的になります。その仕事がどれほど大変だったのかがイメージできます。

 説明や説得など、相手の理解を得たいときには「具体」と「抽象」を行き来します。以下の練習問題について考えてみましょう。(参考文献「頭がいい」の正体は読解力 樋口裕一著 幻冬舎新書)

<練習問題>
(   )を埋めて具体的な例を示してください。

1、私の妹は怖がりだ。たとえば
(                                    )

2、私の部下のAくんは難しいことにぶつかると、すぐに投げ出す。先日は
(                                    )

3、新聞を読む人が減っている。先日も
(                                    )

4、娯楽が多様化したために、みんなが理解できる話題が少なくなっている。たとえば、
(                                    )

<出題意図>

 文章を書くときも読むときも、具体と抽象の間を行き来する。ほとんどの文章は抽象的なことを書いたら、その後、具体例を交えて説明し、逆に具体的なことを書いたら、あとで抽象化する。それを繰り返している。

 あるいは、文章を読むとき、そこに具体的なことが書かれていなくても、読み手としてはそれを推測しながら読み進む必要がある。文章を書くときも読むときも、常に具体的な内容を意識しておかなければならない。

 今回は、初めに抽象化された文を提示する。想像でかまわないので、その後に具体的な例を示していただきたい。ちょっと大げさなおもしろい例を考えるといいだろう。実際に文章を書くときなどは、そのようにして例を見つけ出していくはずだ。

<解答例>

1、高校生になるのに、夜、一人でトイレに行けない/ちょっとした物音がしただけでびくっとして身を震わせる

2、プレゼンの担当から逃げてすべてを人任せにした/会議資料のまとめを指示されたのに、手をつけていない

3、A社の発行部数が30万部にまで落ち込んでいるという報道があった/社内で尋ねたら、12人中、家庭で新聞をとっているのは3人だけだった

4、部長がプロ野球の話題を振っても、誰も反応しない/紅白歌合戦の話をしても、まったく興味のない社員がいた

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