「靴」も「車」も、「出船(でふね)の精神」で整える
「出船(でふね)の精神」って聞いたことがありますか?これは、旧日本海軍の教えの一つで、いつでも確実、迅速に行動できるよう準備を怠らないようにしようとする精神のことです。具体的には、港に船を係留する場合、“桟橋側に船の尾を向けている場合”を出船といい、逆に、“桟橋側に船の首(先)を向けている場合”を入船(いりふね)といいます。入船の場合は、岸壁を離れた後いったん方向転換をする必要があります。時間に余裕がある場合はいいのですが、緊急の場合はそれだけ無駄な時間を要することになります。
これはすべてにおいていえる事柄です。たとえば、駐車場なら前進で車の先を奥にして停めるのが「入船」、後進で車の後ろを奥にして停めるのが「出船」になります。
靴を揃えるのも同様です。玄関から入ってきて、そのまま向きを変えずに、つま先を家の上がり口に向けたままにしておくのが「入船」なら、つま先を玄関の扉口に向けて揃えておくのが「出船」となります。
緊急時や震災などで非難する際には、靴の向きが「入船」になっているだけで数秒の遅れが生じ、命取りになることもあるそうです。
また、コンビニエンスストアなどでは、ついつい「入船」型の前面駐車をすることが多いのですが、駐車場内の接触事故はバック駐車(出船)よりも、前面駐車(入船)をした場合の方が、圧倒的に多いそうです。知人のタクシー会社の社長は、ご自身はもちろん社員、乗務員にいたるまで徹底してバック駐車(出船)を実行するよう指導しているという話しでした。私たちの仕事も「出船の精神」で、確実に、迅速に実行できるよう準備することを習慣としたいものですね。