仏壇に手を合わせる
先日、友人と雑談をしていると「若年層の凶悪事件に共通している家庭の事情があるらしいのだけど。それは、家に仏壇がないということらしい」という話になりました。彼女の家には、育ち盛りの娘が二人。家に仏壇がないけれど、あった方がいいのかどうか、友人は神妙な面持ちで悩んでいました。
この調査の信憑性は定かでなありませんが、手を合わせて神仏、祖先、大自然に感謝し、自分自身に向き合うというのは、国境や宗派のちがいを越えて人間が素直に、謙虚になれる瞬間ではないかと思うのです。
そこで、今日は仏壇に手を合わせるときのしきたりです。仏壇の形式はさておき、礼拝の作法について触れてみましょう。(日本人礼儀作法のしきたり 参考)
礼拝は朝夕二度行うのが正式です。初めにマッチでろうそくに火をつけます。この明かりで仏様や先祖の霊が目覚めるのだということですが、ろうそくの火には周りを浄化する作用があると考えられています。
なお、マッチの火は口で吹いたり、香炉にさして消すのは厳禁です。この世とあの世を結ぶ窓口となる仏壇です。人の息がかかるというのはあの世では好まないのだと…昔、祖母から聞かされました。マッチの火を消す為の仏具を用意しておきたいものです。
次に、ろうそくの火で線香をつけ、香炉にたてます。(浄土宗、浄土真宗では寝かせます)よく「仏様に線香をあげる」といいますが、「線香をあげる」こと自体、焼香と同じで、仏様を拝むということになるのです。
線香は一般的に1本または3本で、線香の煙は「仏様を線香に乗せてお連れする」といわれ、線香の香りには仏様の「霊威」(不思議なチカラ)が宿っていると古くから信じられてきました。線香をあげたら、次にリンの内側を静かに二つ打ち、合掌してお経を唱えます。合掌のあと、再びリンを二つ打って深く礼をしたあと、ろうそくの火を手であおいで消してから軽く礼をしてお参りを終わります。合掌は指先を揃え、手首はみぞおちの高さに置き、前方に突き出したらりしないようにするのが合掌の作法です。