F&Aレポート

リーダーのためのプレゼン力 ~短い文章+短い文章「サウンド・バイト」効果~

リーダーのためのプレゼン力 ~短い文章+短い文章「サウンド・バイト」効果~

■ 「サウンド・バイト」とは、アメリカのレーガン時代に確率されたプロパガンダ手法(政治における主義、思想の宣伝活動)といわれています。8秒間の間にわかりやすく刺激的な言葉を並べて、観衆の思考を停止させるのが目的だったとか。日本では小泉首相の「自民党をぶっ壊す」「感動した!」など。短い言葉を繰り返し使う「サウンド・バイト」は、もともと番組制作の際、後で編集しやすいような短い言葉で表現すれば、良いところだけを切り取って使えるという発想から生まれたものです。
■ しかし、この「サウンド・バイト」は注意を引きつけ、強い印象を残すことができます。この効果をプレゼンに利用してみましょう。スピーチもプレゼンも「情報伝達」という点では共通していますが、プレゼンには目的があります。目的とは「人を動かす」ということです。日頃の指示・命令に始まり、企画の提案や紹介など、ビジネスというステージでリーダーは常に成果のあるプレゼンを求められています。今回は「サウンド・バイト」効果について考えてみましょう。

1.「短い文章+短い文章」が強いメッセージを生む
 以前、「プロジェクトX」という人気番組がありました。その人気の一因はナレーションにあったといってもいいでしょう。衝撃の事実や熱いエピードを淡々と「短文+短文」で語るナレーションは、見る者を引きつけました。
「そのとき、男は見た。玄関から入ってくる小さな人影を。まさしく見覚えのある人影だった。だんだん近づいてくる。足音が大きくなる。息が詰まるようだった」。
 短い文章だからこそわかりやすく、耳で聴いただけでもイメージが膨らみます。しかし、これがスピーチやプレゼンになると残念ながら次のようになりがちです。
「まあ、そのとき男は、玄関から入ってくるのをみましたが、小さな人影でして、まさしく見覚えのある人影だったわけですが、だんだん近づいてきて足音も大きくなって、息も詰まるような感じで…」と。

2.「短い文章」=語尾を言い切る勇気!語尾を濁すのは自信のなさの表れ
 なぜ、短い文章で表現することが難しいのでしょうか。それは、短い文章にしようとすれば、話し手は厳密に言葉を選ばなければならないからです。また、語尾や文末を言い切らなければなりません。
 「~して」「ですが」「というわけで」と、文章をつなぐのは結論づけを先延ばしにしているようなものです。言い切らないのは自信のなさの表れでもあります。その結果、本来呼応するはずの主語と述語がどんどん離れていき、聞き手には伝わりにくい話=悪文になるのです。

練習:次の例文を「短い文章+短い文章」にしてみましょう。
「伝達事項として、議事録の作成担当者の田中さんが急遽お休みされたので、田中さんの代わりに誰か作成をお願いしたいのですが、一応、今日が締め切りになっていまして、かなり忙しくて大変かと思いますが、先週の水曜日の会議の議事録なので誰か出席された人にお願いしたいと思っていますが、まだ作成されていないので少しでも早くお願いしたいところでして…」
回答例:「伝達事項があります。議事録の作成担当者の田中さんが急遽お休みされました。田中さんの代わりに誰か作成をお願いします。先週の水曜日の会議の議事録なので、出席された人にお願いしたいと思っています。今日が締め切りになっています。忙しくて大変かと思いますが、まだ作成されていないので少しでも早くお願いします」

3.「文をつなぐのは1回」「一息で言い切れる文章の長さ」
 では、短い文章の基準は何でしょうか。それは、状況によっても異なりますが、基本的に「文をつなぐのは1回」「一息で言い切る」を基準にすることをおすすめします。
 「今日は田中さんがお休みなので、代わりの人をお願いします」「あいにくの天気ですが、今日は予定通り開催したいと思います」など、「ので」「ですが」でつなぐのは一文一回とすることです。
 「今日は田中さんがお休みなので、代わりの人をお願いしたいのですが、あいにくの天気で、開催が危ぶまれるのですが…」となるとNGです。
 「サウンド・バイト」効果をねらうなら、日頃の話し方から意識して変えていきましょう。気になる人は録音してチェックしてみましょう。