F&Aレポート

アサーション 職場で役立つ面接技法 「嫌な上司に主張を通す タイプ別対処法」

アサーション 職場で役立つ面接技法 「嫌な上司に主張を通す タイプ別対処法」

■上司とうまくコミュニケーションが取れるかどうかは、うまく仕事をこなしていく上でとても重要です。ただ、なかなかやっかいな上司がいるのも事実。どうすればこのやっかいな上司に自分の主張を聴いてもらえるのか、アサーションの応用編として、そのポイントをいくつかの参考タイプとしてご紹介します。この方法は「上司」の部分を「顧客」「取引先」などと置き換えても活用できそうです。ちなみにアサーションとは「誰でも自分の意見や要求を表明する権利がある」との立場に基づく適切な自己表現のこといいます。是非参考にしてください。(参考資料:日本産業カウンセラー協会 産業カウンセリング12月号)

1.想定外の質問を浴びせて受け答えのセンスを見る 善意のタイプ
 「詳細を聞くタイプ」は、提案や企画などに対して詳細な説明を求めてきます。そして、このタイプは、さらに善意と悪意の2つのタイプに分かれます。
 善意のタイプの質問は回答を求めてくるものではなく、多くは受け答えのセンスを材料にして力量を見ているのです。実はこのタイプの質疑で困るのは、想定外の質問が飛んでくること。普通に答えられるような質問ではセンスを測ることができないため、ひねった難問を仕掛けてくる傾向にあります。
 こうした質問に「すみません、わかりません」などと回答することは厳禁です。質問内容の反復をしましょう。「○○部長のおっしゃっていることは、こういうことですか?」と確認しながら話をつなぎ「ここはちょっとわからないんですが」と質問をはさみながら論点を絞りこんでいきます。予想外の質問にも、しっかりと対処し続けることが大事なのです。さらに重要なのは、「○○部長の質問は核心をついているように感じました。ありがとうございました」と御礼の言葉を忘れないことです。この一言で上司からの評価、印象は相当高くなるはずです。御礼を述べるまでは気を抜かないように。

2.想定外の質問を浴びせて受け答えのセンスを見る 悪意のタイプ
 「詳細を聞くタイプ」で悪意のタイプは、ちょっと意地悪な質問をしてわざと怒らせて力量を測ってみようと待ち構えています。
 こういう人に熱くなってはいけません。冷静に対処していくのが大切なので「善意のタイプ」と同様に質問を反復しつつ、上司の説明や意見を「その通りだと思います」と受け止めて、「調査が足りませんでした。もう一度調べてみます」などと回答していきます。相手に悪意があって難問を仕掛けてくる以上、答えられないのは当然ですが、怒りから我を忘れてしまうようだと事態は悪化しますので、仕事を進めるためにも冷静さを保つことに注力してみましょう。
 なお善意であれ悪意であれ「詳細を聞くタイプ」は企画書や提案書を事前に欲しがることが多いものです。タイプ判別の参考にしてください。

3.威圧する上司には質問形式で主張を伝える
 嫌な上司の典型ともいえるのが「パワハラもどきの威圧的なタイプ」です。とにかく権威を笠に着て威圧的にいばりちらします。このタイプの人は、一見、自信があるように見えます。しかし実際には逆で自信がない場合が多く、よく観察すると、自分より上の人には必要以上に気を使っているケースが多いのです。部下に突っ込まれると反論できないので、逆に威圧的に出て部下に反論させないようにしている側面があります。
 このタイプへの対処として重要なのは、強い口調に惑わされないこと。自分の弱みを隠すために威圧的振る舞っている人ですから、こちらが萎縮してはいけません。
 また具体的な対処法としては伏し目がちにメモをとること。直視すると相手の怒りが伝わって影響を受けてしまうので、メモをとるふりでもいいのでなるべく目を合わせないようにしましょう。その上で、相手の意見を反復確認しつつ「その通りだと思います」などと相手の主張を十分に受け入れて話を進めます。
 ここで問題になるのが、自分の意見をどのように通すかですが、主張すれば、怒り出すのは目に見えています。そこで「質問形式で自分の主張を伝える」のです。
 「その通りですね。私もそう思います。では、こんなときはどうすればいいのでしょうか」などと、質問に答えてもらう形で自分の主張を話して、あたかも上司の案のようにまとめていけばうまくいきます。