木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)が富士山からタネをまいた桜
今年も桜の季節がやってきました。コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻など、不安定で閉塞感の漂う世の中だからこそ、桜を眺めるときの心の安らぎはひとしお、といったところではないでしょうか。
弥生時代には、その美しく気高い花姿から神聖な樹木として扱われていたといわれる桜ですが、その歴史は古事記に遡ります。
日本神話にも出てくる女神「木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)」が、富士山の上空からタネをまいたところに桜が咲き、桜の名前の由来はこの女神の名前にあるのだそうです。また、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)は短命だったため花の命も短いのだとか。
そこから何百年を経て、現代のような桜の花見が始まったのは鎌倉時代ですが、安土桃山時代には、豊臣秀吉が「吉野の花見」として5日間に渡る盛大な花見を開いたという記録もあります。このときの花見には地方から名将や大名が5,000人も集まり、大阪から1,000本もの桜を運んで植えさせたといわれています。
江戸時代には、地方でも庶民が楽しむ季節の行事として花見が定着し、今に至っています。全国の開花がニュースになり、老いも若きも桜を愛し喜べるのは、世界広しといえ私たち日本人だけでしょう。最後にこの季節ならではの「桜ことば」を一部ご紹介します。
桜便り(さくらだより):花が咲いた様子を知らせる便り。現代版「桜便り」はメールやライン?
こぼれ桜(こぼれざくら):満開になって散りこぼれる桜の花。
桜雲(おううん):桜の花がたくさん咲いて雲のように見えること。花の雲。
花明り(はなあかり):桜が満開で闇の中でもあたりがほの明るいこと。
徒桜(あだざくら):散りやすい桜。儚く散ってしまう桜の花。儚いもののたとえ。
桜人(さくらびと):桜の花を眺める人。桜の花を愛でる人。一年に一度は皆、桜人ですね。