はじめに
11月3日は晴れの「特異日」とされます。ただし、最近の傾向では、11月4日の方が晴れる確率が高いそうです(東京の場合)。今年は、松山での場合ですが、3日は良い天気でした。さて明日はどうなるでしょう?
衣替えの季節です。先週末クリーニング屋さんに行ったら、店内に大量の預かり物が架けられていました。で、受付の方から酒井さんのは分かりやすいのよね、オレンジとかピンクのシャツだからと言われてしまいました。確かに見回すと、ワイシャツってほとんど白でした。私も白のワイシャツは持っていますが、1週間で1日しか着ないのです。
今週の愛媛
事務所の近くの銀天街の一角にたくさんの花が飾られてるのを見かけました。直木賞作家の今村翔吾さんがオーナーを務めるシェア型併設の書店「ほんまる 銀天街」の開店だったようです。私にとって松山市内にある銀天街は日常の空間ですが、この町の一番古いイメージは 今はコインパーキングに変わってしまった明屋書店で買った大学受験の赤本です。他にも丸三書店、すぐ近くに紀伊國屋書店と街中には普通に本屋さんがありました。Amazonは何でも揃うし、便利ですが、書店のある町ってよいですね。今度行ってみよう。
今週考えたこと
今週一番のニュースは日銀が目標として掲げていたインフレ率2%を達成したと表明したことでしょう。日常生活には直接関係ありませんが、日本経済にとってはひじょうに大切なニュースです。なぜ大切なのかと言えば、2013年に日銀がこの目標を設定してから13年半ぶりの見直しだったこと、さらに振り返れば日本がバブル崩壊からデフレ経済に陥ってほぼ30年ぶりの経済上の変化ということでもあります。
日本銀行のことを考える前に、インフレについて考えてみます。
インフレとは、物やサービスの値段=物価が上がることです。なぜ物価が上がるのでしょうか。様々な原因がありますが、一つには景気が良くなり需要が増えることとされます。給料が上がり買い物する人が増えれば物価は上がります。他にもコストプッシュ型、材料代が上がったり人件費が上がると価格も上がります。今の物価上昇の主な要因は景気拡大によるものではありません。世界的な資源価格の上昇に円安が加わり、国内的には賃金上昇などもあり、物価が上昇していると考えられます。
次に、インフレ目標とは何でしょうか?
諸外国の例では不況下の低金利に対して中央銀行が金利を本来の形の戻すことを目的として、ニュージーランドなどで導入されたケースがあります。日本の場合はこれと異なり、当時の黒田日銀総裁により、長く続くデフレを克服するために導入され、この目標に基づき異次元緩和と言われる大規模な金融緩和政策がとられました。アベノミクスの第1の矢と言われます。つまりアベノミクスという政治面からの経済政策に結びついた日銀の政策だったということです。
異次元緩和とは、通常の金融緩和を超える「異次元」レベルのもので、具体的には、①市中に供給するお金の量を2年間で2倍に増やす、②長期国債の大量購入し 金利を徹底的に低下させる、③ ETF(上場投資信託)やJ-REIT(不動産投資信託)なども積極的に買い入れる、そして④マイナス金利の導入です。要は、市中にお金を溢れさせることで企業の設備投資や個人の消費活動を活発にしようとしました。投資や消費が伸びれば、景気が刺激されて物価が上昇しインフレ目標2%が達成できるはずという考え方です。
しかし、この政策で実際に目標達成することはできませんでした。お金をばらまくだけで、そのお金を使う人や企業が少なかったということでしょう。それだけ日本経済の停滞は重かったと言えると思います。その停滞を打ち破ったのは、2020年以降の新型コロナウイルス禍とその後の経済再開の大きな波やウクライナにおける戦争による石油など物資価格の高騰などによる世界経済の混乱です。その中で物価が上昇し始めたことから、2024年3月になって異次元緩和政策は幕を閉じることになります。原因は何であれ、物価上昇の中で金融緩和を続けることは、物価上昇の火に油を注ぐことになるからです。
そして今回のインフレ目標の達成という発表となります。
日本銀行として、異次元緩和政策を終了し、インフレ目標を達成したと発表したことは日本経済にとってどのような意味があるのでしょうか。私の考えとして、決して悪いことではないと思います。30年間停滞していた日本経済が、外からのショックを受けて、またAIという技術の進化もあり、何とかしなければならないという状況になってきています。
国際通貨基金(IMF)の発表によれば、日本の名目GDP(国内総生産)は2027年にインドと英国に抜かれ、世界6位に転落するとの見通しだとされています。日本経済は少子高齢化と硬直的な組織、制度の中で生産性の改善が進まないのが現状であり、かつてのような経済成長は見込めなくなっています。日本経済新聞の報道では、今年7~9月期の年率0.2%増と低い伸びにとどまると予想されています。日本経済は最悪の状況は脱したと言えそうですが、成長軌道に乗ってきたとも言えません。根幹の問題への解決もまだまだ先になりそうです。しかし、世界の環境を見れば、前に動かざるを得なくなっているように思います。
最後の問題は政治ですが、今の日本政府はデフレは終了したと宣言していません。デフレが終了したのであれば、消費を刺激することとなる消費税減税やそれに関連する給付金という政策は自己矛盾となります。また、財政を使ったリフレ政策=緩やかな物価上昇(リフレーション)を目指す経済政策も、円安や金利上昇を招く可能性が高く、米国から注目されていることから、明確に打ち出すことができなくなっていると想像されます。政治が本当にやりたいことがそのまま実行に移せない環境にあります。ただし、政治からの具体的なコメントがないので、詳細は不明です。
生活の場では、「ビッグマックもユニクロも(12月からは石油も)価格が上昇して、今の時代はインフレというしかないやろ。2%どころじゃないよ。」ということなのですが、経済理論的にも政治的にも、単純にインフレであることを認めて政策を考えるのが難しい段階に来ていると言えます。中央銀行も、少しずつの変化が起きている、そこは認めざるを得ないという意味で、今回のインフレ目標達成という発表が行われたと言えます。まどろっこしいけど、目の前の生活は頑張っていくしかないということです。
今週のAI
多少の違いはあると思いますが、文章の中でAIを使うことが普通になってきました。就職の際に作成するエントリーシートにもAIを利用することが増えてきているようです。文章を修正するくらいならまだ良いのですが、飾り方をAIが進めていくと、だんだん現実の本人と離れていき、虚像になってくる可能性が出てきます。この記事の中で、下記のことが書かれていました。
AIの普及は問題の次元を一段深くした。学生がAIで文章を作り、企業がAIで文章をさばく。気付かされるのは、派手な実績、巧みな文章、起承転結の整った物語といった企業が長年評価してきたものは、もともとAIで作れる類いのものだった、という事実だ。AIが選考を壊したのではない。人の中身を評価できていなかったという選考の急所が露呈しただけだ。
AIが問う「ガクチカ」の意義 噓が得にならない選考を 日本経済新聞
面接で人を判断するのはとても難しいというのは私も長年面接をしてきたのでよく分かります。しかし、突っ込んで評価ができたことはありません。文章がきれい、言葉がきれいという人の方が良い印象を持ってしまいます。そこにAIが絡むと、よりきれいになります。
この記事はさらに下記のようにつながります。
企業がやるべきことは明らかだ。AIが代筆できない、事実で学生を評価することだ。面接のあらゆる質問は、突き詰めれば「あなたはどういう人か」の言い換えである。派手な実績は要らない。
AIが問う「ガクチカ」の意義 噓が得にならない選考を 日本経済新聞
面接に限らず、仕事の上でも同じことです。AIを使って表面的にきれいなものができても実際のサービスや商品がどうなっているかが大切です。完璧なエントリーシートで入社できた会社で、実績を積むことがで切れなければ意味がありません。AIの仕事はエントリーシートの作成であり、その人の人生をになうことではないはずです。そこを人間自身が身につける必要があります。
前回に続き、セキュリティ問題は雲が晴れません。
AIを使ったサイバー攻撃を受けたGMOインターネットグループの不正アクセス問題で、システムの脆弱性は以前から指摘されていたというニュースがありました。経営者は何をやっていたのか!と思われるかもしれません。確かに経営者の責任は決して小さくありません。しかし、システムの分野でもセキュリティは非常に重要で、しかし非常に分からない分野なのです。表に出るシステムはボタンを押せば商品が出てきて決済と流れていきますが、セキュリティはその裏で情報が漏洩しないように一生懸命頑張っています。
少し古いシステムでも問題がなければ今のままで良い、コストをかけなくて良いじゃないかという判断もあり得ます。もちろん、その判断は間違いで、セキュリティに関しては常に最新のものを導入すべきなのですが、今まで問題がなく、コストがかかる更新は不要と判断されることはあるでしょう。これは組織の問題としても考えることができます。GMOのようなテック系企業はテクノロジーについての理解は深いはずですが、経営判断はまた別のものだと考えられます。中小企業も他人事ではありません。日本中の会社がセキュリティの問題をきっかけにシステムのことを深く考えることができれば、もしかして生産性の向上につながるかもしれません。
おわりに
再びご近所ネタです。事務所の近くにはなまるうどんがあります。ここは、1年に何度か500円で天ぷら定期券を発行します(早く買えば400円)。有効期間概ね1カ月くらい。エビ天は1つ220円(税込)ですから、1ヵ月の間に2~3回行けば元が取れることになります。そして、レジの様子を見ていると、天ぷら券使用比率は高いのです。つまり、隣の人も前の人も、知らない人ですが、同じように来ている可能性が高いということになります。昼時の銀天街、客の大半が仕事関係のように見え、それも1人の割合が結構高く、社食の空気感が漂っています。時々変な人もいますが、なんとなくの連帯感。みんな午前中の仕事を終えて、うどん食べながらホッとしてるんだろうなと思いました。それぞれのうどん、それぞれの昼休み、です。
この藤原塾メールを送信した頃から米国中間選挙の投開票が始まります。混乱する米国の中でどのような選択が行われるのか注目されます。
この記事では一般的な経済市場動向についての情報提供を行っているもので、特定の投資を推奨又は勧誘するものではありません。
