ボストーク松山藤原塾

スリにご注意

はじめに

東京ほどではありませんが、松山市内も少し涼しくなって、ジャケットを着てる人を見かけるようになりました。この日曜日にカットに行ってきたのですが、髪が伸びましたね!とビックリされました。夏は、気温の上昇や新陳代謝の活発化によって、冬に比べて髪の伸びる速度が1.1〜1.2倍ほど早くなるのだそうです。その夏に伸びた髪もカットして、秋を迎えます。なんか羊みたい。

一時期の円安、金利上昇が一服しています(欧州の債券市場は政治の影響で混乱しています)。日本の経済、財政が安定化してきたわけではありません。どちらかというともっと怖い状況になりつつあります。根本は、先週書いたエアウィーブ社の問題に代表されるようなAI企業に対する懸念が膨らんできているということです。ここまでは何でもAI!ということでハイテク株に投資先が集中していましたが、ヤバいんじゃない?という声が少しずつ出てきて、その資金の行き先が米国債や円になってきました。つまり、日本経済や財政の状況に改善の兆しが見えて日本にお金が動いたのではなく、とりあえずマシなところにお金をおいておこうという流れが起きています。

また、PHPの問題(この点は後述します)など、従来のような有望な投資先として先端技術であるAIは適切なのかという問題にもなってきています。11月3日に行われる米国中間選挙やフランスの混乱などもあります。為替市場だけ見ていると落ち着いているように見えますが、世の中全体はそうでもないということを分かっておいた方が良いでしょう。

今週の愛媛

愛媛県ではなく鳥取県の話題です。愛媛県の中村知事は5選に向けて出馬表明を行いましたが、鳥取県の平井知事は5期目で次の選挙に立候補しないことを表明しました。福岡の県議会のような閉鎖的な環境から生まれる問題もありますが、知事や市長に関しては、国会議員とは少し違う政治感があるような気がします。その理由は、住民が身近で触れる機会があること、ある程度の独自性が発揮できること、自治体完結で結果が見えること、世襲が少ないことなどかもしれません。ただし、これから人口減少は目に見えたものになってきます。自治体トップのリーダーシップは今までになく重要になってきます。

この知事で思うことですが、知事になる人の出身母体に総務省(旧自治省)出身者が多いことが少し気になります。総務省は地方自治体とつながりの深い役所で、自治体のことがよく見えていることや、知事として総務省とのパイプがあることが強味になるということがあるのだと想像します。ネガティブな部分として、地元からは適任者がいないということもあるのではないかと思います。少し違う世界ですが、税理士会の役員も税理士の選挙で選ばれます。以前はやりたい人がたくさんいて大変だったのですが、今は逆に手を上げる人が少なくて大変なのだそうです。政治に関わることは大変なストレスです。それを乗り越えて、地域に貢献するという意欲のある人が少なくなっているのかもしれません。さて、今年の県内の首長選挙、どうなるのでしょう?

今週考えたこと

プロ野球読売ジャイアンツの監督に松井秀喜氏が就任することになりました。松井氏は、日本のプロ野球から米大リーグにも行って活躍した選手で、その成績は素晴らしく監督就任に対する注目度が高くなっています。しかし、選手として立派な成績を残した人が監督になることが人選として果たして正解なのだろうかと私は思います。なぜか。

最初に申し上げておきますが、今回、松井秀喜氏を取り上げますが、個人的に松井氏や巨人というチームに対して何かの思いがあるわけではありません。マネジメントという視点からふと思い、これを取り上げようと思っただけです。

同じような例で、長嶋茂雄氏があります。長嶋茂雄は素晴らしい選手でした。しかし、監督としてはどうだったでしょうか。今でも時々画像がでてきますが、長嶋茂雄のスター性は監督としてではなく、選手としての華やかなプレーだったのではないでしょうか。

長嶋も、松井も、そしてイチローも、天才的なアスリートは理屈ではなく身体で動きます。「勘」が素晴らしいことが多いのではないかと思います。人を指導育成するのに、勘よりもっと大切なものがあると思います。それは例えば、人を見る目、弱いところに付き合う精神力、データを冷静に見る目、そして勝ち負けにこだわらずチームを引っ張る熱意などです(3人の中でイチローは未だに監督をやっていないと言うことは何かあるのかもしれません)。

つまり、松井が監督をするのだから巨人は強くなるはずだと期待するのは間違いです。仮に松井が巨人の監督をして、成績が良くなかったとしても、選手に必要なものと監督に必要なものは違うのであり、彼が監督として必要なものを持っているかどうかはわかりません。まったく未知数なのだから、時代の成績を出して当然だと思うのは間違いなのです。逆に、松井が選手として築いた実績は、若い選手にとってはプレッシャーとなり、指導を受けても自分は松井監督とは違う、どうせあんな成績は出せないと萎縮につながる可能性があります。

その誤解は、日本の人材育成の間違いとも共通するのではないかと思います。良い選手だから良い監督になるはずだとか、選手時代の活躍を監督でまた見てみたいという思いはある種の憧れの復活であり、監督としての評価を冷静にしているわけではありません。華やかな経歴はないけれど冷静にチームを勝利に導く監督は、日本では逆に嫌われる傾向があるように感じます。なぜそのチームが勝っていったのか、に関心はなく、冷徹なところだけを取り上げて、彼がチームをいかにして盛り上げたところは取り上げない。とても情緒的です。映画マネーボールのブラッド・ピットのような話と真逆のものです。

その人のイメージを大切にする、と言えばきれいな言い方になりますが、人の一面にこだわってしまい、正確にその人を捉えることができない硬直的な考え方はすごくネガティブです。日本では人を見るときにどうしても前者のようになってしまうのではないでしょうか。もちろん、良いときだけでなく悪いときも同じです。悪いと思えば徹底的に悪いと思い続ける。しかし、目の前に生きている人はそんなに単純ではありません。いろいろな角度から人や物事を見ることが大切だと思います。

今週のAI

AIは、AIの開発者がその会社の首脳が考えるよりも馬鹿でかくて、複雑で、お金がかかって、人類に対する影響がとても深いもののようです。ここでいったん開発を止めて、問題点を整理して、私たちにとってどうしていくことが良いのかを話し合うべきなのでしょうが、残念ながらそのようなことができる指導者は、まだ私たちの目の前にはいないようです。

以前、税理士会の関連団体で、システムを扱う仕事をしていた頃、使っているシステムに脆弱性が見つかると、ベンダーと協議し、対応を検討しました。場合によっては、システムを一定時間止めて作業を行っていました。

今回のPHPの問題は、大騒ぎになっていますが、システムの世界では初めて起きたことではなく、今までも同じような問題は常に起きていました。少し違うのは、AIが普及していることで、攻撃を受けて被害を受ける可能性が非常に高く、より危険になっているということです。今までの攻撃は人間の手でやっていましたから、Enterを押すのも限界がありました。しかし、AIは百万回のアクセスを一気に行うことができるような感じですから、従来の防御のやり方では間に合いません。被害の規模もひじょうに大きくなります。脆弱性が見つかったということは、システムに問題があることが分かったと言うことで、すべてのシステムから情報が漏洩したわけではありません。ただし、メンテナンスに入ったものの、いまだに閉鎖されたままのサイトがたくさんあるということは問題です。

脆弱性が見つかったところは何をしているか、ですが、脆弱性とはシステムに外から簡単に入れる穴があると言うことですから、その穴をふさぐ作業を行います。パッチを当てる、という言い方をします。

しかし、システムの中には、元のシステムが古すぎて、穴をふさぐことができないシステムがあります。どういうことでしょうか?例えば、iPhoneのiOSというiPhoneを動かす基本的なシステムがあります。最新のiOSは27.2という番号です。古いiPhone(iPhoneXS以前のもの)はこのiOSにアップすることができません。古くても使えるのだから良いじゃない、と思う人もいると思います。しかし、新しいシステムは新しい攻撃に対して対処できますが、古いシステムのままだと防御のためのツールを持って対応することができず、個人情報が流出してしまう可能性があります。それは困りますね。であれば、自分の個人情報を守るために、新しいiPhoneを持つことが大切と言うことになります。Appleが新しいiPhoneを売り出すのは、そのような意味もあるのです。

日本の企業も、お金がかかる、今のシステムで問題ないじゃないかという発想で古いシステムをそのまま維持してきたところがあります。そのような会社が今になって大変なことになっているわけです。特に日本では失われた30年の間、何もしないことが一番という空気が身にしみてしまっていました。いまだに会議で「一番安いのはどれだ?」という質問が出るくらいです。価格差も大事ですが、性能差も配慮しなければいけないし、その性能を理解するだけの知識が必要です。何が重要なのかということがわからなかったことが、今の悲惨な状況を招いているとも言えます。

では、この後どうなるか?ですが、いろいろな情報が漏洩した可能性がある、気が付かなかった穴があってそこから漏れてる可能性がある、AIの普及浸透で今までは考えられないような攻撃がある可能性があると考えられます。今まで安全だと思っていた空間が、とても怖い空間に変わってしまいます。しかし、ネットバンキングのように、社会は今さら元に戻れないようになっています。

ではどうするか?紙に戻れる人は戻れば良いと思います。たとえ不便でも安全な方向に。しかし、生産性を上げ、仕事を効率化させるために前に進まなければいけない人たち、便利が良いなと思う人たちは、怖い空間でも泳いでいかなければいけません。怖がり「すぎる」必要はありません。日本があまりに特別だっただけで、日本以外の国でのサイバー空間はこんなものだったのです。サイバー空間だけでなく、外交もそうだし、日常生活でもそうです。欧州の地下鉄の中では、スリがいて当たり前です。情報は漏洩して当たり前、財布はすられて当たり前。そんな環境で、私たちは何をすべきなのか?ということをしっかり身につけていく必要があると言うことです。目の前の嵐が過ぎ去ったら、私たちは覚悟を決めて、真っ暗な海に飛び込む用意をしなければいけないと思います。

おわりに

レジリエンスという言葉があります。逆境からの回復力、しなやかさを意味します。セキュリティにおけるレジリエンス「サイバーレジリエンス」とは、サイバー攻撃に対して防御するだけなく、障害が起きたときに被害を最小限に抑え、業務を迅速に復旧させることを言います。地下鉄の中で財布をすられないようにするだけではなく、すられることを前提に行動するということです。日本に住んでいると、安全安心ということが当たり前になっています。津波が来るから防波堤を高くすると言う措置が取られたように、攻撃に対する防御能力を高めることが優先されます。しかし、被害を受けることを前提に、どんな被害が起きるのか、起きたときはどうするかという発想も大事です。そして、その経験を元にシステムを再構築していくことです。

考えてみれば、野球チームもおんなじですね。人の生き方もおんなじです。この環境にいることを楽しめる余裕をもっていきたいなと思います。そのために大切なのは?よく寝ることかな。


この記事では一般的な経済市場動向についての情報提供を行っているもので、特定の投資を推奨又は勧誘するものではありません。