●沖縄美ら海水族館といえば、巨大なジンベイザメやマンタが悠々と泳ぐ「黒潮の海」を思い浮かべる人が多いと思います。今回、あの大水槽の裏側を覗くバックヤードツアーに参加しました。
●普段、関係者以外は立ち入ることのできない扉を抜けると、そこには展示スペースとはまったく違う世界が広がっていました。
バックヤードは暑い、、、顔は汗だく
まずは、扉を開けた途端にムッとする「暑さ」が待っていました。水族館特有の涼しさとは別世界です。より自然に近い状態で生きものを飼育するため、バックヤードは冷房が効いていない自然な状態なのです。もちろん、水槽の中の海水も温度調節はしていません。
水族館の目の前にある東シナ海の海水をそのまま使用しています。当然、季節により海水温度が変化しますが、そのまま使用しています。
さらに、バックヤードには配管や機械が張り巡らされ、ポンプや濾過設備が休むことなく働いています。来館者として眺める竜宮城のような世界は、こういう裏方の存在があるからこその賜物なのだと再認識しました。
足元で、マンタが翻りジンベイザメが泳いでいる!
私たちは池にかかる橋の上から鯉に餌をやるような形で、大水槽を上から眺めました。普段は正面からしか見ることのできない「黒潮の海」を真上から眺めると、ジンベイザメやマンタ(エイの仲間で最大級の大きさを誇る海洋生物)が、立体的に泳ぎ回る姿が見え、その迫力は展示スペースとはまったく違いました。
水面近くを泳ぐ魚たちの様子や、水槽の広さをあらためて感じることができ、「海を上から見下ろしているような感覚」になります。
中でも、体調8メートルに及ぶジンベイザメが、足元を泳いでいくのは、厚いガラス越しの水槽で見るよりも、ずいぶん大きく、そして長く見えました。そんなジンベイザメにぴったりと寄り添うコバンザメ(頭部に小判形吸盤を持つ)の姿もありました。コバンザメは大きなジンベイザメと共にいることで身を守っているのだと、ガイドの女性が教えてくれました。
生きものの健康管理〜餌を作る人たち
バックヤードには、餌を作るブースもあります。私たちは行ったときには、ちょうど魚屋さんで魚をさばくようなスタイルで、サバを処理している人たちが三人いました。
サバの頭を落とし、骨をとり、2センチぐらいの大きさに切り分けているのでした。そばに置いてある青い大きなポリバケツには、処分される部位が山のように入っています。(これは植物園で肥料にしたり、再び海に返したりして循環させます)
「自然に近い状態で飼育するなら、魚はそのまま(まるごと)やればいいのではないか」と、思いましたが、そこは魚たちを安全に飼育するために細心の注意を払っているとのこと。骨やビニールなどを間違って飲み込んでしまわないようにチェックしているのだそうです。そうして出来上がった餌は、ダイバーから魚たちの口元へ投げ込まれます。
餌というと、魚釣りの時のようにオキアミを撒く程度のものしか想像していなかった私には、こんなにも人の手をかけられていることに驚きでした。
まとめとして
ガイドの女性は、美ら海水族館のことや魚の生態など、何を尋ねても的確に答えてくれました。それは、マニュアルを超えて、ご本人の情熱から出てくる言葉だと感じました。
おかげで私たち一行は、展示されている生き物のことだけでなく、水質管理や餌やり、生き物の健康管理など、毎日欠かせない仕事について学ぶことができました。
あの巨大な水槽は「展示物」ではなく、生き物たちが暮らす環境そのものです。その環境を維持するために、24時間365日、細やかな管理が必要であることをあらためて知りました。これまで水族館では、生きものを見ることばかりに目が向いていましたが、その感動を与えている多くの人の努力や技術、そして命を預かる責任の重さを知り得ることができました。お客様の目に触れるのはほんの一部ですが、その裏側では多くの準備と工夫、支える人たちの存在があること。私たちの仕事にも共通する部分だと感じました。
