ボストーク松山藤原塾

梅雨の季節に考えたこと

季節の話題

高松地方気象台は6月2日、四国地方が梅雨入りしたとみられると発表しました。平年と比べ3日早く、昨年と比べ16日遅いそうです。この時期、天気予報は当てになりません。天気予報が当てにならなくなると本格的な梅雨です。

ところで、なぜ「梅雨」というかご存じですか?諸説あるようですが、中国の長江流域で梅の実が熟す初夏の時期にたくさんの雨が降ることに由来するというのが一般的のようです。ちなみに、梅の花は春先に咲きます。春の訪れをいち早く知らせてくれることから、「春告草(はるつげくさ)」という別名があるそうです。今の日本人にとって春と言えば桜ですが、伝統的には梅の花だったそうです。そして、梅の花から始まって梅の実が実る梅雨に至るまで、あっという間に6月と言ってしまいますが、梅はしっかりと活動してるんです。あっという間というのは梅に対してちょっと失礼かなと思いました。

今週考えたこと

2026年度の補正予算が成立しました。当初予算が成立した直後に、イラン戦争で混乱する中東情勢への対応に向けて高市政権は機敏に反応した、と言えるのでしょうか?予算総額は3兆1135億円。どのような中身なのか。ここはAIのPerplexityに整理してもらいました。


電気・ガス料金支援(0.5兆円)標準的な家庭では「3か月で5,000円」程度の負担引き下げ効果を見込んでいます。

重点支援地方交付金(0.1兆円)今回の0.1兆円は、特別高圧電力やLPガスの利用者への支援など、地方自治体が地域の実情に応じて支援できるよう追加措置するものです。

中東情勢等対応予備費(2.5兆円)


ここで思ったことが2点あります。

  • 日経新聞にはこの内容がハッキリと書かれていません(だからPerplexityに調べてもらいました)。
  • 3億円規模の予算ですが、大半は中東情勢と絞られているものの、予備費で明確な使途が決まっていません(早くやったぞ!感を出した?)。

この後、消費税減税〜給付付き税額控除へと進んでいく流れですが、補正予算は消費税減税とは直接つながっていません。国民会議での議論を経て、進んでいくのだと思います。なんとなくの空気で政治が動いていく感じがします。

この消費税についての話がいろいろなところに出てくるので、税理士として考えてみました。

まず今後想定される減税ですが、思い切って消費税減税に踏み切るなんて高市首相すごい!と思われてる方が多いと思います。しかし、政治家として大変なのは減税ではなく増税です。なぜなら増税の方が圧倒的に国民の反発が大きいからです。減税は、財源などの問題もありますから、赤字国債の発行や歳出の調整など財務省の負担は大きくなるという問題はありますが、大半の国民は大歓迎ですね。これに対して増税については国民が強く反発して当たり前です。他にもっと取れるところがあるだろうとか、財務省は数字をごまかしてるんじゃないかという声が出てきます。しかし、国全体のことを考えた時、例えば社会保障費の負担が大きくなっている中で増税に踏み込まざるを得ないという流れは無視できません。そもそも減税した結果財源がなくなったら、増税するしかないし、タイミングが遅れるとインフレは加速し、金利も上がっている可能性が極めて高いです。誰も負担が増えるのは良しとしませんが、嫌われ役を買って出る政治家の方が減税を進める政治家より絶対偉い!と私は思います(財政がとんでもなく厳しいこのタイミングで減税に踏み込む高市首相もすごい!と言えるかもしれませんが)。

次に、国民の側も増税には反対と言いつつ、では増税のどこが反対なのか?という理屈に則った反論はあまり聞きません。歳入歳出の問題、税の理屈の問題、どちらもとても難しいです。財務省も一応説明はしているのですが、それをみて理解できる人は少ないでしょう。日本は申告納税制度と言って、事業者や給与所得者が自ら納税する仕組みが基本なので、納税する側が税金のことを分かっていることが前提です。しかし、制度上はそうであっても実際はなかなか大変です。経営者も一般の方よりも税に接する機会は多いですが、法人税や消費税の理屈までは分かっていないのが普通です。だから税理士がとても重要な役目を果たしているわけです(ここは自画自賛)。個人の確定申告も、スマホを使ってe-Taxと簡単にできるようにはなりましたが、これはあくまでもツール=手段の話。所得控除や税額控除の仕組みを理解しているわけではなく、e-Taxに言われるままに数字を入力している人が多いと思います。

つまり、反対しているのは増税による自己負担の単純な増加であり、税や財政、社会保障の内容ではないということです。税制のすべてを理解することは無理です。しかも、税は財政に必要な歳入の部分であり、これに歳出も含んだ財政全体の問題、財政が行き渡る国全体の方向性、健康保険・医療保険や年金の社会保障問題、国のお金全体を取り巻く金融、さらには国境を越えた国際的な問題。問題は、単に一つの税金の問題ではなく、すべてつながっていると言うことです。社会的に救済すべき人に対する手当は当然考えるべきです。しかし、消費税の減税はその手当となるのか。それを理解して、減税を考えるべきです。

最後に消費税について考えます。財務省のHPには消費税10%引き上げについて下記のように書かれています。

社会保障制度の財源は、保険料や税金だけでなく、多くの借金に頼っており、子や孫などの将来世代に負担を先送りしています。少子高齢化が急速に進み、社会保障費は増え続け、税金や借金に頼る部分も増えています。安定的な財源を確保し、社会保障制度を次世代に引き継ぎ、全世代型に転換する必要があります。こうした背景の下、消費税率は10%に引き上げられました。

上げる目的が社会保障のためであるなら、下げる理由はなんなのでしょうか。少子高齢化の問題は解決したのでしょうか?減税分はどうするのでしょうか?結局国債があるから良いのでしょうか?今の物価高は生活に厳しいと思います。しかし、社会保障が抱えてる課題はそれよりも軽いのでしょうか?そのような議論が国会であったのでしょうか、首相から説明があったのでしょうか。SNSを含むメディアでそのような議論があり、検討は進んだのでしょうか。

消費税が始まったのは、私が税理士としての仕事を始めた直後でした。まったく新しい税目で、財務省・国税庁だけでなく、税理士も勉強し、納税者となるお客さん(消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者です)に説明をして始まりました。増税はいやだけど、税という制度がいらないという人はあまりいないと思います。

本当に消費税の税率引き下げが今の日本が取るべき最優先課題なのか?今からでもちゃんと議論すべきだと思います。政治的にどうしようもないなら、将来ちゃんと振り返って、この問題をしっかり検証していただきたいと思います。結果的に減税して良かったのか、とんでもないことになるきっかけとなってしまったのか。

ここでちょっと話を切り替えます。医薬品は健康維持のために必要なものです。日常生活に密接に関係するものですから、高いのは困りますね。日本は薬事行政が「しっかり」しているので、医薬品は国際的に見ても安価を維持しています。良かったと思われますか?経営者から見てどう思いますか?

ちなみに、米国の薬価は高いです。OECD加盟国平均の2.78倍になります。そこで、トランプ政権は、他国と比較して高い米国の薬価を下げるため、米国の医薬品の価格を他の先進国の中で最も低い水準に合わせる「最恵国待遇(MFN)薬価」を導入しようとしています。

安い価格で薬が売るのはまずいとなると、製薬会社はどのように考えると思いますか?日本では、薬価は厚労省が決めるので、自分たちで価格のコントロールができません。薬価が安い国、日本には売らなければ良い、ということになりますね。売らなければ安いことにならない。先端で新しい薬は高いのが当然であり、その新しい薬は日本に入ってこないことになります。つまり、日本では、先端の薬を使った治療を受けられないことになります。皆さん、それでよいですか?日本の製薬会社があるから良いだろうと思われるかもしれませんが、日本の製薬会社も利益が出る海外で勝負するようになってきており、新しい薬を日本で販売しなくなる可能性が出てきています。

この話に関連する記事がこれです。

日本人は30年のデフレ経済に染まりきっていて、安いのが当たり前という感覚が染みついています。デフレ経済の下では、価格は上がらない(下がるかもしれない)ので、急いで買い物をする必要はありません。しかし、インフレ経済では、価格は上がっていくので、早めに買っておく必要があります。当然、品質や購入の必要性、価格上昇の可能性などをしっかり吟味して購入の判断をしなければいけません。デフレ経済よりもインフレ経済の方が、大変なのです。30年と言えば、世代一つ飛ばしのようなことになってしまいます。日本全体でこの意識をひっくり返さないといけません。

バケツをひっくり返したような雨はいやですが、後ろ向きに考える意識は早くひっくり返したいです。

今週のAI

「帝国データバンクは「専門性による差別化を図れない事業者は、生成AIの台頭による下押し圧力に耐えきれず、今後さらに淘汰が加速するとみられる」としている。」スペースXのことも気になりますが、この記事を読んでドキッとしました。AIの技術は日々進化していますが、それを利用する側も進化しています。コンサルティングの作業の中にあるデータの解析作業や資料の作成はAIを使って処理することが当たり前のようになってきました。そのような部署の人材は不要になりますし、1つの会社でもそのような業務の比重が高いところは淘汰されていくということです。税理士もコンサルティングに近い業務を行っていますし、業務の性格は近いところがあります。生き残るためには何をしなければいけないか、AIができない分野を見つけて磨きをかけていくことだと思います。


※この記事では一般的な経済市場動向についての情報提供を行っているもので、特定の投資を推奨又は勧誘するものではありません。