かれこれ23年間続く『アクエリアス話し方スクール』。そこで、今期課題となっているのは、「即興スピーチ」。テーマを与えられて、頭の中にあるフワッとした考え(思い)を、即座に3つに分類して言語化するというゲーム感覚のトレーニングが、意外に難しくて面白い。
テーマはあらかじめ講師が準備したものではなく、受講生にその場で決めてもらう。昨日のテーマは、「良い新入社員の条件」になった。
このテーマを挙げたのは、20代半ばの女性会社員。新人の育成でお悩み中だという。(このテーマもその場で考え即座に決めてもらった)
今や文章作成は、多くの人が生成AIを活用している。報告書、議事録、提案書など。全体の構造や、「てにをは」など、面倒なことを考えなくても『秒』で仕上げてくれる生成AIはタイパでコスパ。とても便利で頼もしい、まさしく文明のリキ。
そんな中、このトレーニングは、AI に頼らず、自分の思考と向き合い、自分と会話をする。未完成であっても、とにかく「3つ挙げる」スピードゲーム。だからこそ、本音が聞ける。
直感が磨かれる。言語化する能力が磨かれるのです。
「私が考える、『良い新入社員の条件』を3つ挙げます」
発表する際には、「えー」や「よくわからなかったんですけど…」などの、余計な前置き(これは保険)を入れない。これもトレーニングのひとつ。
「私が考える『良い新入社員の条件』を3つ挙げます」に続いて、「1つ目、2つ目、3つ目」と挙げたら、「以上、私が考える『良い新入社員の条件』を3つ挙げました」と、締める。いたってシンプルですが、最後まできちんと締めないことが多い。
「3つ目は、○○です」と、3つ条件を挙げて、そのまま着席してしまうパターン。これはとても残念。聞き手は発言が終わったタイミングがよくわからず、「以上ですか?」と、終わりを確認しないといけない。
「キーボードを叩く音が大きすぎない」「自己主張が激しすぎない」
「キーボードを叩く音が大きすぎない」が出たときは、一同大笑い。「あるある」という共感の嵐。また、「自己主張が激しすぎない」という意見も、「ウンウン」「クスクス」。
「○○ができる」「○○をする」という肯定表現だけでなく、「○○をしない」という否定表現があるのは小さな発見。
「キーボードを叩く音」については、後で多くの意見が噴出。
- ネイルをした爪先で叩くカチカチという音が気になる
- 音が大きい人は、引き出しやキャビネットを閉める音も、なぜか大きい
- 特に、Enterキーを押すときの「バチーン」という音が耳につく
- 音に神経を取られて集中できない
ちなみに、「キーボードの音が大きい人」は、「筆圧も強い」と言います。本人はまったく気づいていないことがほとんどのようですが…。
「電話に出る」「メモをとる」
電話に出ない新入社員の話はよく聞きます。電話といえば、携帯やスマホが当たり前の世代にとって、固定電話は得体のしれない「旧石器の機器」なのかもしれません。
外線電話はもとより、内線電話にも出ない。入社後、2ヶ月経過しても、まだ一度も電話に出たのを見たことがないという意見もありました。
メモをとらない新入社員についても然り。忘備録としてメモをとるという習慣が身についていないのは、学校生活での授業のあり方に原因があるようにも考えられます。
大事な資料は配布される。ダウンロードできる。パソコンやタブレットの使用で、ノートをとることが昔に比べて圧倒的に少ない。という環境で育つと、どこでメモをとればいいのかすら気づかないのかもしれません。
要素を「3つに絞る」ということ
要素を「3つに絞る」作業は、「生み出す」ことと同時に、「捨てる」作業をしなければなりません。頭の中にあるフワっとした思考の塊を、「大事」「準大事」「捨てる」の「ワード箱」をつくり、思い浮かぶものを分類し整理することではなかろうかと思います。
受講生は、「2つ目までは浮かぶけど、3つ目が浮かばない」と言いますが、練習で、3つ目のワードを導く回路を開通させることができます。
