ある店主の話
あるラーメン屋の店主が若い男性客に向かってこう言ったそうです。「お客さん、ラーメンを食べながらスマホを見るのはやめてください」。男性客は咄嗟に「あ、すみません」と、言ってスマホを閉じました。その後、店主は続けました。「あなたもいずれ父親になったら、子どもに対して同じことを言うようになると思う。いつかまた、子どもさんと一緒にうちの店に食べに来てください」。
店主の気概が感じられる良い話だなぁと思いました。自分の店に来てくれたお客を注意することは勇気がいることです。しかも今どきスマホは、多くの人にとって片時も離せないアイテムになっています。スマホを見ながら食事をすることに、なんの抵抗もない人が多いのではないでしょうか。
しかし、店側からすると、朝から仕込んだスープをもっと味わって欲しいでしょうし、スマホを触っている間に麺が伸びてしまうかもしれないし、長居されると店の回転率も気になるし…と、その切実な思いは察するに余りあります。
しかし、「そんな客は二度と来るな!」ではなく、「いつか父親になって子どもと一緒に食べに来てください」と、締めくくっています。
「スマホ見ながら食い」
その「スマホ見ながら食い」。ついついやっていませんか?
ある調査によると、10代〜20代の約8割が「スマホを見ながら食事をしている」と、回答したそうです。その理由は次の通りです。
- 食事中の時間を有効活用したい
34.1% - 食事中に退屈しないため
27.7% - なんとなく
27.0% - 一人の食事が寂しいから
26.4% - スマホをいじることが習慣化しているから
21.9%
「スマホ見ながら食い」は、食事を味わうという感覚が薄れます。口から食べ物を体内に流し込むという作業になってしまいます。
さらに、私たち日本人が大事にしている「いただきます」の言葉にある、「感謝して食べる」という原理原則はどこかに行って、ただ空腹を満たすという行為になってしまいがちです。
単純に「カッコ悪い」
スマホやタブレットを見ながら食事をするときの姿勢はどうでしょうか。
首を曲げて、背中を丸めて貧相な格好になっていませんか?見た目に悪いだけでなく、内臓に負担がかかるので、消化も悪くなります。
また、スマホとは関係ないのですが、足を組んで食事をすると姿勢が悪くなり、猫背になります。見た目にだらしないだけでなく、骨盤の歪みや腰痛の原因にもなります。
箸を正しく持ち、音を立てずに食べる。不用意にこぼしたり、汚したりすることなく食事を楽しむには、食事に気持ちを向けることは大切な要素です。
スマホはテーブルの上に出さない
カフェやレストランなどで食事をするときに、テーブルの上にスマホを置くのは避けたいものです。理由はいくつかあります。
- テーブル上にスマホがあると、給仕の際にグラスや皿の置き場所などに気を遣う
- 水や飲み物が、スマホにかかる危険性がある
- スマホが目の前にあると、つい触りたくなる
- そもそもテーブルに食事に関係ないものは置かない
みんなと食事をする時もスマホを触っている人を見かけます。状況にもよるのでしょうが、せっかくのコミュニケーションの機会を無駄にしているようで気になりますが、いかがなものでしょうか。