F&Aレポート

科学が解き明かす「ハート(心臓)は知性を持っている」1

 心臓と脳の関係をご存知でしょうか。私たちの脳を司るのは、実はハート(心臓)で、「心臓脳」というものが存在するのだそうです。「心拍数」を整えることで、脳も感情もコントロールできるというのです。これは、本来のパフォーマンスを発揮するメソッドとして、欧米企業や医療、教育、スポーツ界などで、取り入れ成果が認められています。この研究を進め、メソッドを全世界に広めているハートマス研究所(米国)と、その理論をご紹介します。(「ハート知性」ハートマス研究所/ひろしま平和未来創造研究所)

ハートマス研究所とは 〜約30年にわたり心臓・脳・神経系の機能などを研究
(1)1991年、米国カリフォルニア州で創立
(2)「心臓・脳・神経系の機能」「ストレスとパフォーマンス」の研究
(3)感情・ストレスのマネジメント法を開発、普及
(4)それらのメソッドは、欧米諸国の企業、医療・教育機関、軍や警察、スポーツ界
   などで導入されている

「ハート(心臓)」にも知性がある

 心臓はポンプになっていますが、そのポンプの周りに脳と同じような、神経細胞組織であるニューロンがあるということがわかっています。ニューロンの働きとして学習したり、記憶したり、何かを決定したりする能力を心臓も持っています。

 同時に、直感、インスピレーションと呼ばれるものは心臓からもたらされること、または、心臓が入口になっているのではないかということが研究で明らかなっています。

 私たちは「心はどこにあるか」と聞かれたら、本能的に「心は胸(ハート)にある」ということを感じています。

 直感(インスピレーション)の機能について、面白い実験があります。コンピューターの画面の前に被験者に座ってもらいます。その画面に二通りの写真を被験者に見せます。  

 一つは心安らぐ美しい映像、もう一つは戦争のようなネガティブな映像です。その二つの映像をコンピューターがランダムに6秒ごとに切り替えます。それによっての心臓や脳の働きを調べていきます。通常私たちは、映像を見たあとに反応すると思っていますが、実験結果は違っていました。

 その実験により、映像が選ばれる前に心臓が反応し、その信号が心臓から脳に送られて映像を見る前に脳が反応するということがわかりました。次に起こることを予知して心臓が反応しているのです。

 「虫の知らせ」「胸騒ぎがする」という言葉は、その言葉通り、次に起こることを心臓が予知して反応しているといえます。逆に「アイデアがひらめく」などの直感も、リラックスしているときに起こると言われますが、これも心拍数が安定しているときに、ハートの知性が働いて閃くのではないかと、いわれています。

 私たちは、「脳」が体をコントロールとしていると思っていますが、実は心臓にも脳があり「心臓脳」と呼ばれるものが存在し、「心臓脳」と「脳」が連携しているのです。

心拍リズムと脳 「コヒーランス」と「非コヒーランス」

 脳と心臓は、太い神経で結ばれていて常に情報を交換しています。脳から心臓にいく情報量と、心臓から脳にいく情報量を比べてみると、心臓から脳にいく情報量の方が100倍も多いということがわかっています。

 心拍数の変化が脳の機能に影響を与えているのです。健康診断で測る心拍数は、一瞬の心拍リズムを1分に治してデータ化したものですが、心拍リズムというのは実際には、一刻一刻その長さが違い常に変化しているものです。

 心拍リズムが不規則で、激しく動いている状態を「非コヒーランス」と呼びます。「非コヒーランス」の時に感情は不満・イライラ・心配といった状態になり、脳のパフォーマンスは低下しています。確かに私たちはイライラしているときは、冷静に物事を判断できません。そのときの心臓は、心拍のリズムが不規則で非常に乱れている状態になっています。

 反対に、心拍数が安定した「コヒーランス」と呼ばれる状態は、リズムが一定で心拍数の上下の振れ幅も一定しています。これは心臓本来の理想的な拍動の状態です。

「コヒーランス」になっていると、感謝、自信、落ち着きといったリッラクス状態になり、脳のパフォーマンスも向上します。

 心拍のリズムを通して、様々な情報が脳に伝達されていくのです。