F&Aレポート

多様性時代の「男性版身だしなみ」スタンダード

 世の中が「多様性」を重んじ、「ちがい」や「個性」を見直し、認める傾向にあるのは、とても素晴らしいことと感じる一方で、「『なんでもあり』というのは違うよね」と、思うこの頃です。

 今回は、ビジネスマナーの中で「男性の身だしなみ」について、講座や研修の現場で意外に知られていないのでは?と、感じるスタンダードなルールをおさらいしたいと思います。

 前回のレポート「仕事の面接にショートパンツで臨んだ女性、追い返した採用担当者に反論!」を、「女性版身だしなみ」とするなら、今回は「男性版身だしなみ」と言えるかもしれません。

ヘアスタイル

 とてもシンプルに表現すると、「目、耳、シャツの襟にかからない長さを保つ」ということです。もちろん業種業態によって、違いはあると思いますが、いわゆる「清潔感がある」「機能的」という、一般的な基準はこの通りです。

 毛先が伸びてきて、耳や襟元に触れているのは、だらしがない印象になりかねません。特に、耳や後ろの襟元部分は、自分の目で確認しづらい部分でもあります(正面の鏡で見たときに目視しにくい)ので、余計に注意が必要です。

 また、目や眉にかかるほど前髪が長い人は、垂れてこないようにスプレーなどで固めましょう。身だしなみは自分基準ではなく「他人基準」で、整える必要があります。

カラーリングの基準

 髪の色については男女の違いはないのですが、就活や面接対策でもよく質問を受けます。業種によってかなり違いがありますが、一般的には8トーン以下とされています。

 JHCA(NPO法人日本ヘアカラー協会)では、髪の明度を4〜15の12段階に分けて作成されたカラースケールがあり、数字が大きくなるほど明るい色になります。

 企業によっては、はっきりと規定で基準が決まっているところもありますが、「明るすぎる色は避ける」というような、あいまいになっているところも少なくないようです。

「明るすぎる色」の感覚は、年代や個人によって大きく異なりますので、気になるようなら一度規定を見直しても良いのではないでしょうか。

 明るめの色は、それ自体は華やかで明るい印象ですが、黒や紺色、グレーといったスーツに対しては髪色が浮いてしまうことがあります。人によっては必要以上に派手な印象に映ることもあります。一般的に暗めの髪色は、スーツを着た時に落ち着いた印象になると言われています。

ソックスは、ダークな色で長めのもの

 自分ではあまり気にならなくても意外に目立つのがソックスです。カジュアルなスタイルはさておき、スーツやスラックスを履くときには、靴の色に合わせるのがベストです。または、スーツ(スラックス)の色に合わせましょう。

 色は黒、紺、グレーで、ひざ下まであるハイソックスです。「ハイソックス?」と、不思議に思う人もいるようですが、「足を組んでスラックスのすそが上がっても、すね毛が見えないように」というのが、スーツの身だしなみとされています。

「すね毛は醜いもの」と、されているので、身だしなみとして気を遣うべき重要なポイントなのでしょう。ただし、最近は脱毛ブームなので、この限りではないのかもしれませんが、スラックスの裾線とソックスの境目に肌が露出しない方が、足の先から上半身までがつながりスマートに見えます。カジュアルシーンで身につける、くるぶし丈や、白いソックスは、スーツにはNGです。

オフィスカジュアルとの向き合い方

 温暖化や、テレワークの影響もあり、男女ともスーツを着る機会は少なくなり、身だしなみもおしゃれも、全体的にカジュアルな傾向に向かっています。ただ、「オフィスカジュアル」を、感じよく着こなすのは、崩しすぎてもダメ、固すぎてもダメという具合に難しいところもあります。また、自社は良くても、他社に訪問する際には他社の基準に合わせるという「微妙なさじ加減」が求められることも。そのためにも、身だしなみの基準となるものを把握しておきたいものです。また、組織の規定も時代に応じてアップデートしていく必要もありそうです。