F&Aレポート

2023新語・流行語大賞にみる今どきのコミュニケーション

 「アレ(A.R.E)」が、2023年新語・流行語大賞でした。プロ野球の阪神タイガースが日本シリーズを制し1985年以来38年ぶり2度目の日本一となった秘訣が「アレ」でした。今年のタイガースのチームスローガン「アレ=優勝」。岡田監督の強い意志を表していると言われています。また、岡田監督の飾らない昭和の野球人的な、率直な話ぶりも話題になりました。

 一般的には、歳をとるとなんでも「アレ、ソレ」と言い、物や人の名前がすぐに出てこないと揶揄されますが、今年のタイガースは岡田監督の「アレ」の一言で、すべて伝わってしまうのです。これぞチームの心がひとつになった証で、以心伝心の勝利なのでしょう。

 トップテンに入った「蛙化現象」は、好意を持っている相手のことが、ふとしたことで嫌になってしまう「急に冷める」現象のことを言い、グリム童話「かえるの王様」から、たとえていると言います。

 今年はコロナが「5類感染症」に移行し、行動制限がなくなったことで、非接触からリアルな接触が増えました。4年余りのマスク生活からも解放され、妄想から現実へとシフトしたことで、「思っていたのとちがう」と戸惑うことも増えたと言われています。

 「好きな人から告白された瞬間に、何か違うと思った」「ペットボトルの飲み方が嫌」など、日常の些細なことで「冷める」ことを若者は「蛙化」と言うのです。

 それも「自分が冷めた」のではなく、「相手が勝手に蛙になった」と、突き放しているところが特徴です。SNSで簡単にブロックをかけて一方的に関係を切ってしまうの、今どきの人間関係を表していると専門家は評しています。

 「アレ」で伝わる熱い人間関係と、「蛙化現象」で一方的にバッサリ切られてしまう人間関係。今年は両極端なコミュニケーションが混在する一年だったのかもしれませんね。

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