「コシヒカリ」と「箸」
新米の季節です。最近は昔ほど日本人が米を食べない「コメ離れ」が進んでいると聞きますが、それでも美味しい新米を味わうときは、日本人ならではの喜びがあるのではないでしょうか。
そのお米の中でも最も有名で人気が高いと言われているのが「コシヒカリ」です。この名前は新潟県で誕生し福井県で育ったことから名付けられました。
北陸地方の国を指す「越の国」の米。それは冷害に強い稲で、大いなる希望であったため「越」の「光」で、「コシヒカリ」と命名されたそうです。
色、ツヤ、香りの三拍子に、ねばり(モチモチ感)を備えたお米で、ご飯だけで食べても美味しいと言われます。ご飯そのものが主役となりうるので、ネタを味わう寿司には向かず、パラパラとした食感が好まれるチャーハンにも不向きということです。
「コシヒカリ」に続いて、私たちの食生活に欠かせない「箸」ですが、日本で使い始めたのは弥生時代から飛鳥時代(3~7世紀ごろ)と言われており、初期の箸は神様のお供え物を手で触れて汚さないように神器として使われていたという説もあります。
遣隋使が中国で箸を使った食事でもてなしを受け、その後日本で広まり独自の進化を遂げました。現在でも、箸は中国や韓国など東南アジアで使われていますが、いずれもスプーンなどを併用するため、箸のみを使って食事をするのは日本だけです。そのため、日本の箸は先が細くなっているのが特徴です。また「自分専用の箸」を持つのは、他の国には見ない文化です。
たった二本のスティックで、持ち上げる、すくう、つまむ、切るなどすべてをこなす「箸」。日本人はこの箸を使いこなしたからこそ脳が刺激され、器用になり、さらには緻密性が養われ、「ものづくり」が発展したとも言われています。
新米を味わいつつ、食文化から育まれた日本の文化を見直してみてはいかがでしょうか。