言葉のギフト「否定語よりも肯定語」「脳には主語がない」
最近、ある教育者の方の講演で「人間の脳は、否定語を理解できない」という話を聞きました。たとえば、「黄色い象を想像しないでください」と、言われても、私たちの脳はしっかり黄色い色をした象を想像してしまいます。同様に、「廊下を走らないでください」「水をこぼさないでください」と、言われると、廊下を走る様子、水をこぼした状態を想像してしまいます。
私たちの脳は、イメージしたものを具現化するはたらきがあります。そのため、「○○しないでください」と言われると、益々「○○をしてしまう」ことになるのです。
先の例でいえば、「廊下を静かに歩いてください」「コップをしっかり持ちましょう」という肯定語に変わるとどうでしょう。同じ事を言っているのに、「走らないでください」と、「静かに歩いてください」では、伝わる印象がちがいます。
最近では、サービスエリアなどでも「トイレを汚さないでください」とは書いてありません。「トイレをいつもきれいに使ってくださって、ありがとうございます」と、書かれています。これはイヤな気持ちはしませんし、自ずときれいに使うように気を付けるようになります。人間の脳って面白いですね。
さて、そんな私たちの脳ですが、もうひとつ興味深いことがあります。「脳には主語がない」ということです。「?」と、思う人もいるかもしれませんが、具体的には、「おまえは、バカヤローだ!なんて、気の利かないやつなんだ!」と、相手をなじったとしましょう。この場合、相手に対して言った言葉であっても、脳は「自分へのメッセージとして受け止める」のだそうです。「言った言葉は、そのまま自分に返ってくる」。まさしく言霊です。
普段、何気なく発する言葉を少し注意して意識するだけで、脳に影響するものが変わってきます。是非、自分に心地のいい言葉を選びたいものです。