親子で学べる「12歳からのマナー集」2~フレッシュマンに送る
パズルやクイズを集めた「頭の体操」シリーズなどの著者多胡輝氏による「12歳からのマナー集」(PHP文庫)は、大人が読んでも頷ける解説ばかり。ここで解説されるマナーは、「守るべき決まりだから」というマナーではなく、「幸せに生きるための」マナーです。その考え方は、ビジネスマナーに戸惑うフレッシュマンにもお勧めできる非常にシンプルでわかりやすいマナー集です。前回に続いてご紹介します。
1、メールは話し言葉のようには伝わらない
メールはストレートな気持ちを表すより、「事実」を表す方が得意です。
好きな人に告白するときのことを想像してみてください。恥ずかしいからといって、メールで「好きです。付き合ってください」と書いても、気持ちは直接話すときほどうまく伝わりません。メールでは、表情や声の調子が伝わらないからです。
でももしも、キミが好きな人から、「昨日あなたの夢を見たよ」というようなメールをもらったらどうでしょう。
好きな人が自分の夢を見てくれたという「事実」からいろいろなことを想像して、うれしくなるのではないでしょうか。
このように自分の気持ちを伝えるにしても、直接話すこととメール(文字)とでは伝わり方が違うのだということに気づきましょう。そして「事実」を書くようにしましょう。
2、相手の前で言えない悪口をメールに書いてはいけません
相手の目の前で、「バカ、死ね」などと言ったら、つかみ合いの大げんかになってしまいますよね。
けんかをして、叩かれたり蹴られたりすると痛いので、目の前に相手がいるときはそんなにひどい言葉を使わないはずです。
ところが、メールやチャットだと、汚い言葉やひどい言葉を使って平気で相手をののしってしまいます。どんな言葉を使っても、痛い目にあわないとわかっているからです。
確かにこれなら、身体は痛くないし、ケガもしません。
でも、ひどい言葉でののしられると、心が傷つくのです。心も身体と同じように傷つくのです。そして身体の傷は治りやすいけれど、心の傷は直りにくいのです。
3、トラブルは生きた勉強のチャンス。トラブルのない世界はないのだから学ぶつもりで立ち向かう
誰でもトラブルなんて避けたいと思う。子どもも大人も同じです。
その思いが、マナーをつくり、マナーを育ててきました。マナーは人と人とのトラブルを避けて、気持ちよく暮らすためにあります。
みんながマナーを守っていれば大きなトラブルはおきません。大きなトラブルが起こるのは、ひどいことをやっても、人に見られなければいい、捕まらなければいいと考える人がいるからです。こういう人は、マナーを無視します。レッドカードの人なのです。
でも、マナーを守っていても小さなトラブルは起きてしまいます。マナーに対する考え方が少しずつ違うからです。たくさんの人が暮らす以上トラブルのない世界はありません。だから小さなトラブルは、マナーを学ぶいいチャンスと思って立ち向かいましょう。
4、なんでも人のせいにするとトラブルは大きくなる
トラブルが起きると、誰かに責任を押し付けたくなります。これは大人も同じです。
たとえば、会社で決めた目標を達成できなかったとき「Aさんが悪い」というように誰かに責任を押し付けようとする意見が出されます。名指しされた人は負けずに「私じゃなくてBさんの責任だ」と言います。Bさんはまた誰かのせいにするということで、まとまりがつかなくなってしまうのです。
誰かに責任を押し付けようとするから、かえってまとまらないのですね。それよりも、少しずつ責任を分けてしまって、またみんなで頑張るようにすればいいのです。