「主語ナシ会話」になっていませんか?
オフィスでもプライベートでも、人間関係をよりよくしたいと思うなら、会話に「主語」を意識的に入れることをおすすめします。特に、親しい仲になると私たちはついつい「主語ナシ会話」になってしまいがちです。「主語ナシ会話」とは、文字通り主語のない会話です。「ちょっとそれ取ってくれる?」「これ納めておいてね」「がんばってね」など、会話は主語がなくても進みます。また、親しくなればなるほどこの傾向がみられます。
つまり「主語ナシ会話」は、用件を伝えているだけです。「フロ・メシ・ネル」と同じです。「おい」「ちょっと」「それ・これ・あれ」で通じるのは便利で、「阿吽の呼吸」とも言えるのかもしれませんが、相手に対するアイデンティティが失われていくのです。
職場なら「○○さん」「課長」「部長」、家庭なら「お父さん」「お母さん」「あなた」「おまえ」「ヒロシ」など。
主語を入れると、メッセージ性が強くなり伝わりやすくなります。これは、たった一言の挨拶でも同じです。
「おはようございます」と、「課長、おはようございます」ではずいぶんニュアンスが違います。「ちょっと、それ持ってきて」ではなく、「○○さん、ちょっとそれ持ってきて」の方が、頼まれた方もピンとくるものがあります。今、忙しいけれど、すぐに持って行かなきゃ…と。ささいなことですが、こちらの思いの分子のようなものが、相手の心にスッと入っていくのです。これはメールの文章も同じです。
一般的に倦怠期を迎える夫婦は会話が少なくなり、主語がなくなるといわれています。主語を入れるのは、相手の存在を認め尊重している証でもあります。