ボストーク松山藤原塾

しつこいけどまた消費税について

はじめに

9月になってずっと曇り空の毎日。8月中はほとんど履くことのなかった雨用の靴を毎日履いています。8月の暑い時期は、雨がなかったことで愛媛県内の農作物にもかなりの影響が出ているようです。これから雨が降っても取り戻すのは難しいでしょう。気が付けば、セミの声が消えていました。季節はホントに秋です。

今週の愛媛

直接愛媛県に関係する話題ではないのですが、大手住宅メーカーの一つ、大和ハウス工業が、国内事業を再編し、新築住宅の営業機能を都市部に集中、23道県から撤退すると発表しました。その背景にあるのが新設住宅着工指数の激減です。2024年度比で13%の水準となったそうです。住宅が建たないということは、住宅を建てる人が減っている、少子化の傾向が経済活動にも直結するようになってきたということです。愛媛県の拠点はなんとか残るようですが、四国内でも高知県と徳島県は撤退するようです。これと同じような話題が下記です。

大学進学者が減っていくので、定員の規模が変わらなければという前提条件がつきますが、2人に1人が難関私立や国公立大学に在籍することになるという記事です。2025年は大学進学者が65万人いて、難関大学の定員は21万人ですから、3人に1人という状況です。ここで起きるのが、偏差値の意味、地方大学をはじめとする入学者が減少する大学の存在、難関校といえども定員を減少させると規模縮小は免れず、研究教育機関としての存続をどのように行っていくのかといった問題です。

この2つの記事ともに見えてくるのが、少子化が目に見えてきたということです。大和ハウス工業は、具体的な一手を打ちました。大学も様々なシミュレーションを行っていると思います。他の組織、業界など様々なところで、これから具体的な検討が始まり、行動に移ってきます。恐らくもっとも危機感がないのが政治の世界だと思います。そんなことはないという反論はあるでしょうが、経済界が持っているような危機感は感じられません。個々人として考えるのはとても難しい問題です。社会全体で考えなければ答えが出ない問題に私たちは直面していると言えるでしょう。まずは自分たちが住んでいる足許の世界から考えていくべきことのような気がします。

今週考えたこと

税金が返ってくるのはおかしいと思いますか?

健康保険や年金といった社会保障は、負担している人が利益を享受できる制度で、健康保険料を払えば社会保障診療を受けて、窓口負担は減る仕組みになっています。しかし、税金は特定の目的に使われるのではなく、国や地方公共団体の支出に充てられるので、目に見える形で返ってくることはあまりありません。例えば、災害が遭った時の自衛隊の派遣費用も税金で賄われますが、派遣費用のために国民が特別に負担することはなく、国民が負担した税金の中からこの費用が支出されます。

税金が返ってくるとはどのようなときか。例えば、事業者は消費税を別に経理処理します。売上の入金があると、本体代に消費税が加算されます。支払う場合も同様です。この入ってきた消費税と出ていった消費税の差額が、消費税申告を通じて納税されます。この感覚は、一般消費者には理解が難しいところかもしれません。ここで、食料品の消費税1%減税が出てきます。食料品に係る消費税は1%であり、販売する事業者に入ってくる消費税は売上の1%となります。次に、支払う消費税の中に10%があると、支払う消費税の方が多くなる可能性があります。支払った方が多ければ、計算上マイナスとなり、税金が返ってくることになります。売る消費税の税率が低いので還付される可能性が高くなります。

この先にはさらに問題があり、税金の計算を簡単にするために簡易課税という制度があります。消費税の計算は、すべての取引を集計するので、零細事業者には大変なことになります。そこで、その手間を省略するために、売上の金額だけから消費税を計算する方式で、卸業なら10%、小売業なら20%の消費税を払えば良くなっています。ただし、これは例外的な措置であり、売上が5000万円までの事業者に限定されます。

今回の減税が実施されると、この簡易課税制度を適用する事業者は、必ず消費税を払わなければいけなくなります。差引計算なら返ってくるかもしれないのに、もったいないです。そこで、簡易課税をやめて原則としての差引計算をした方が良いケースが出てきます。しかし、作業が大変になるので、税理士費用を負担してあげようというのがこの記事です。2年間だけ税率を引き下げるだけでいろいろな問題が出てきます。

ちなみに、簡易課税は簡便計算なので、実際よりも消費税が少なくなる、つまり事業者が得をしている=益税だという指摘が多く出ていました。今回の減税により差引計算をすれば、益税はなくなるけど、事業者には消費税が還付されるというおかしな現象が起きることになります。

消費税が返ってくるなんてけしからん?そう思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし、それが消費税の仕組みなのです。もし、消費税の還付は認めないというなら計算式を変更しなければならないし、仮にそうなると、それが商品やサービスの価格に跳ね返ってきます。しかも、それは消費者が負担した以上に事業者が税金を払うことになるから、消費税という枠組みではない税制になります。ますます複雑で難解です。

一般的に税制は難しいのですが、中でも消費税はとても難しい制度です。今回の減税措置により、国民の多くがこのことに気が付いたとすればそれはとても良いことだと思います。難しいからもういいや、なんて言わないで、多くの国民の投票で選ばれた政権が実施する施策なのだから、最後までしっかり理解してください。まさか消費税のことを理解しないで、減税を支持したなんてことはありませんよね?もちろん、政治家も政策を作るだけではなく必ず成果を検証してさらに改善できるところは改善していただきたいと思います。メディアやSNSで取り上げられなくてもやってほしいですね。税金で仕事されているのだから。

消費者が払う消費税が1%になるという意味をもう少し考えます。払う消費税が1%ということは、事業者が受け取る消費税が1%になるということです。当たり前ですが、その事業者が国に納める消費税も1%になります。つまり、国の収入が8%から1%になる=減収になります。所得税や法人税だと分かりにくい部分が、消費税だと分かりやすいです。自分の負担が減ることは、国の収入が減ることであり、国の収入が減るということは国民に回すお金が減ることになります。それで良いというのが国民と政権の選択です。

今週のAI

日本時間9月10日2時(米国時間9がち9日14時)から、Apple社の新製品発表イベントが開催されます。今回は、折りたたみ型iPhoneが発表されると噂されています。世界のテクノロジー界をリードするApple社ですが、AIの開発は遅れました。自社開発優先から、他社のAIを活用した機能が実装されるのではないかとも言われています。AI開発が遅れていることは、Apple社にとってマイナスではありますが、今の開発状況やそれを取り巻く課題を考えれば、その渦中にいないメリットもあるのではないでしょうか。

AIの開発が落ち着き、使い方が少し定着した段階で、Apple社の製品に上手に活用すると言うことがあるかもしれません。AI自体が、まだ未知の分野なので、どうなるのかまったく分かりませんが、先端を走るのではなく、一歩後を生きながら、実生活に活かす技術として考えるという戦略もあるのかなあと考えたりしました。

おわりに

先週、久しぶりに仕事で東京に行ってきました。電車の人混みを避け、リムジンバスで移動しましたが、それでもどっと疲れが出ました。暑さのせいもあるのかもしれませんが、ストレス溢れる街に疲れたのかもしれません。やっぱり田舎が良いなあと思ってしまいました。


※この記事では一般的な経済市場動向についての情報提供を行っているもので、特定の投資を推奨又は勧誘するものではありません。